秘密と憧れの原点
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修正が終わったので、更新再開です!
今までの分に、修正や加筆がされています。
「ん?」って思う部分があったら、読み返してみてください!
俺は部屋のソファで、のんびりとスライムについて調べていた。
神具によると、スライムは未知なる可能性を秘めているそうだ。
進化の派生先が育成環境によって変わるとのこと。
俺は足元のアクアを見る。
アクアもこの先、進化するのだろうか?
アクアに俺の考え方や遊びを覚えさせれば、自身で学習して成長すると思う。
単調な命令を行うだけじゃなく、自分で考える存在。
一度に複雑なことはできないだろうけど、単純な行動を順番に行う。
その程度ならできるだろう。
うーん、そう考えると、スライムでなにができるかなあ?
スポーツをやらせてみるのは面白いかも!
でも、観戦のことを考えると、色々と作るものがあるなあ。
あ、その前に土地の確保も必要か。
土地の確保かあ。自分の領地でもない限り、好き放題にはできないな。
ハア、この件はいったん置いておくか。
部屋の扉がノックされる。
次はテイムについて調べようかなと思ったら、こんな時間に来客だ。
誰だろうか?
シューネが対応して、部屋に招き入れる。
驚いた。アイリーンがこんな時間に俺の部屋を訪ねてきた。
こんな時間にっていっても、まだ空は明るいけど。
女性は夜に男性の部屋、それも私室に行くのははしたないと習った。
対応を間違えると、これって大問題になるんじゃないか?
それにしても、一体どうしたんだろうか?
俺が不思議に思っていると、アイリーンが口を開く。
「アンタの神具を開いたら、アンタが書いた文字に似た文字が浮かんできたわ」
「え?」
「これはアンタ宛に届いた手紙なんじゃないの?」
「ちょ、ちょっと待って! 確認するから!」
俺は慌てて、自分の神具を確認する。
嘘だろ? 返信が来ただなんて。
だけど、現にアイリーンが、俺の文字に似たものを見たって言っている。
俺は該当のページを開く。
そこには『日本語』で俺の家族からのメッセージが届いていた。
『お父さん、このメッセージが届いていますか? お父さんが死んでから、こっちは大変なのに、お父さんがノンキで私は怒っています! あなたの娘、美代より』
『たぶん父さんだと思うけど、日記を見たよ。異世界? で楽しそうに過ごしててよかったよ。 あなたの息子、浩二より』
『お母さんがね、ベッドでお父さんの小説をずっと見てるの。それも、スマホを強く握りしめてね。私、すごく悲しくて泣いたの』
『父さん、母さんのことで助けてほしいんだ。母さんは父さんが死んでから、抜け殻のようにベッドの上で一日を過ごしているんだ』
『お母さんは、きっと今でもお父さんのことを想ってる。お父さんの死を受け入れられなくて、元気がないの。お父さんが元気づけてあげてほしいの』
神具には、現在の家族の状況が書かれていた。
俺はつい日本語でしゃべっていた。
美里が俺の死を受け入れらずに、ベッドで抜け殻状態?
美里、すまない。俺が死んでしまったばかりに……
あの時、ナースコールで看護師をちゃんと呼べていたら。
そうすれば、違った未来があったかもしれないのに。
美里に俺はなんて伝えればいいんだ。
俺がそんな『たられば』な話を考えていると、強く背中を叩かれた。
「しっかりしなさい! なにがあったかわからないけど、シャンとなさい!」
「いだっ! なにするんだよ!?」
「悩んでいないで、アンタはアンタらしく、アンタのやりたいことをしなさい!」
俺はアイリーンを見る。
まだ子供なのに、その瞳には強い意思を感じる。
どこか無理をしているようにも見えるけど。
まさか、子供に元気づけられるとはね。
俺は力なく笑う。
「……ハハッ、子供にそんなことを言われるとはね」
「アンタも子供じゃない」
「いや、俺は……」
話してもいいのだろうか、俺のことを。
正直にいえば怖い。
俺はこの世界では異物な存在だ。
ほかにも同じ境遇の者がいればいいのだが、そんな人物はいない。
今まで誰にも言わなかった、俺が抱え続けている秘密。
それと、届いた返信。
この悩みを相談するためには、秘密を明かさなければならない。
話してもいいのか、アイリーンに?
アイリーンが心配そうに俺を見ている。
大丈夫、かな? 彼女なら受け入れてくれるかも。
信じるしかない、覚悟を決めよう。
俺は覚悟を決めて、バルコニーの扉を開く。
シューネに声が届かない範囲まで離れているように指示をする。
アイリーンも誰かに下がるように指示を出していた。
誰に向けて指示を出したんだ?
俺が不思議そうにしていると、彼女が笑った。
「話してくれるんでしょ、アンタのこと?」
「ああ、覚悟は決めた。話すよ、俺の秘密を」
「私の秘密もあとで話してあげるから。聞かせて、アンタのこと」
「少し長くなるし、信じられないかもしれないけど……」
俺は彼女にこちらの世界に転生したことを話す。
彼女は驚いていたがバカになどせず、真剣に俺の話を聞いてくれる。
よかった、話す相手に彼女を選んで。
俺は生前の話もする。
魔法に憧れたこと、憧れを人に話してバカにされたこと。
憧れをバカにせず、受け入れてくれた人たちのこと。
そんな人と結婚して、家族がいたことを俺は話す。
彼女は目を見開くが、すぐに驚きの表情を隠す。
そして、妻が今もベッドの上で俺のことを想っていることも伝えた。
俺は美里になにができるだろうか。
俺は……
話を聞いたアイリーンの表情は真剣だ。
彼女はなにかを考え、俺の目を見て話しだす。
「アンタは魔法で人を幸せにしたいんでしょ? 悲しい出来事もひっくり返すって。なら、やってみなさいよ? アンタは奥さんを悲しませたままでいいの?」
その言葉で俺はハッとする。
そうだ。俺の憧れた魔法はこんな状況をひっくり返すためにあるんだ。
俺の原点。
魔法は自由で、人々を幸せにする力。
今の俺には、その力がある。
できるかはわからない。でも、やるんだ。
美里を救えるのは俺しかいない。
悲しいままで終わらせてたまるか!
俺は思ったままに魔力を練る。
目を閉じて、イメージを形にする。
両手を組み、美里に届けと願いながら、祈りながら。
美里の心を癒すように。美里を守るように。
美里への思いをこめて、俺は魔法を作りあげる。
魔法が完成したので、目を開く。
俺の手の中に、光る粒子が周囲を舞う白い鳥が一羽いた。
俺はその鳥を夕闇の空へと放つ。
飛び去った鳥は、光の粒子をまき散らしながら羽ばたいていく。
俺の想いをこめた魔法だ。
きっと美里に届く。いや、絶対に届く。
俺はもう見えなくなった鳥を見るのをやめて、アイリーンを見る。
彼女のおかげで、俺は思い出せた。
妻を助けられることに気付かせてくれた。
彼女も俺の憧れを認めてくれた。
だから、この関係は大切にしよう。
俺にできる限り、彼女の力になろう。
そう誓った。
まずは、感謝と尊敬の念をこめて……
「アイリーン、ありがとう」
とびっきりの笑顔でお礼をしよう。
いつもの文量だけど、ちょっと短いかな?
出勤や登校時間に間に合ってよかった。
これからも続きを書いていきますよー!