政府専用機内にて その六
遅くなりました…。
ごめんなさい…。(土下座)
十倉寺司令は続けて、
「これで日本では大変な騒ぎになりました。次は日本に攻め込んでくるはずだ、となって…」
と、話したのである。
これにテイルは、
「…普通はそうでしょうね。それでどうなったのですか?」
と、相づちを打って先を促したのであった。
それに十倉寺司令は、
「それからは政府と軍部、それに陛下も加わった合同会議を連日開いてどのように行動するべきかを議論しました。ですが議題が議題ですから会議を開く度に揉めるばかりで中々結論が出なかったのです」
と、言ってここで一旦区切ったのである。
するとここで松本総理が、
「…あの時は本当に揉めましたな…。いつ同盟軍が攻めてくるかわからず、それでも入ってくる情報では同盟軍は部隊の再編成を行っている、それが終わればすぐにでも日本に攻めてくる、という物や、再編成はしているが攻め込むかどうかはわからない、という物、さらには日本に対して降伏勧告を行ってくる、というようなバラバラの物でしたからそれぞれがそれぞれに都合の良い情報を元にして議論を行うのでいつも紛糾しましたな…」
と、言って何処か遠くを見る目で話したのであった。
この松本総理の話を聞いたテイルは、
「…それぞれがそれぞれに都合の良い情報で、という事は幾つかのグループに分かれて議論が行われた、という事ですか?」
と、言って松本総理と十倉寺司令に尋ねたのである。
これに十倉寺司令と松本総理は、
「ええ。戦争派と降伏派に分かれて議論が行われました」
「それが毎回揉めるばかりで結論が出せなかったのです。そんな時に同盟軍が共同で降伏勧告を行ってきました。これで降伏派の勢いが大きく強くなったのです」
と、言ってテイルの質問に答えたのである。
するとこの話を聞いたテイルは、
「…ですが今の状況を見ると戦争してアメリカに来たとしか考えられないんですけど…何をしたんですか?」
と、言って松本総理と十倉寺司令に尋ねたのであった。
この質問に松本総理が、
「それは十倉寺司令があの場で誰も考え付かない奇策中の奇策を提案し、それを実行に移したからです」
と、答えたのであった。
この答えにテイルは、
「…奇策中の奇策、ですか…。当時の状況と今どうなっているかを考えれば……アメリカへの逃亡策ですか?」
と、言って自身の予想を話したのである。
するとこれを聞いた松本総理が、
「ほぼ正解です。そうです、ここで十倉寺司令の言葉でついに第三の選択肢、戦争ではなく、降伏でもない。他国への逃亡という選択肢が出てきたのです」
と、言ってテイルに説明したのであった。




