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【電子書籍化】多元世界戦記 ~テイル奇譚~   作者: 篠原2
プロローグ 復活と脱出
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格納庫でのあれこれ

テイルが格納庫に入るとそこにいた先生と十数人の作業員達が一斉にテイルの方に顔を向けてきた。


「姫!」


「姫様!」


「お待ちしておりました、姫様!」


「ああ、姫様。ずいぶんとお早いお出ましで」


皆が口々にテイルの登場を喜ぶ言葉を発する中、先生だけは入浴時間の長さを揶揄する発言を行なった。

一方で嫌味を言われる形になったテイルはその嫌味を完全スルーする形で、


「ええ、早く上がれるように頑張りましたから」


と、満面の笑みで言ってのけたのである。

テイルのこの発言に先生以外の皆は、


((((((((頑張った?あれで?))))))))


と、思い、先生は無表情で、


「出来る事ならもう少し頑張ってほしかったのですがね?」


と、再度嫌味をぶつけたのである。

ところがテイルは二度目の嫌味もあっさりと、


「ふふ、そうですね」


と、言ってスルーしたのである。

そんなテイルの様子に溜め息を吐きながら先生がテイルに尋ねた。


「姫様がここに来たという事は…ワイバーンの様子を見に、ですね?」


「ええ、どうなっていますか?」


先生にそう聞き返しながらテイルは格納庫内の一角にある謎の構造物に目をやった。

同じように先生も謎の構造物に目をやりながら、


「私も始めて目にする物ですから詳しくはわかりませんが…恐らくは順調だろうと思います」


と、答えたのである。

そしてその答えを受けたテイルが先生の隣に歩み寄って謎の構造物を見ながら先生に話し掛けたのである。


「そうですか…。とりあえず確定出来ない持ち札の内の一つはどうにかなりそうなので安心しました」


「作業完了まで十五時間程掛かるそうですが…?」


「問題ありません。魔王軍艦隊がここに来るには最低でも二日後にはなるでしょう。作業が完了したワイバーンの慣らし運転をする時間はしっかりあるでしょうから」


そう言ってテイルは先生の隣から謎の構造物の近くに歩み寄ると謎の構造物にそっと手を触れさせた。

そんなテイルに今度は先生が歩み寄って謎の構造物を見上げながらテイルに話し掛けた。


「それなら良いのですが…。それにしても…」


「ん?」


「良くもまあこんな凄まじいマシンアーマノイドを作り上げたものですな、えぇと…なんと言いましたか…」


「セレス・エレンディア博士…ですか?」


「ええ、そうです。確か開発コンセプトが…何でしたっけ…?」


と、テイルに問い掛ける先生。

テイルはそんな先生に苦笑いをしながら少しの苦言と答えを話す。


「相変わらず専門の医療分野以外の込み入った話題は苦手なんですねぇ…。もう少し努力してほしいのですが…。それで開発コンセプトですが、現時点でのマシンアーマノイドの最高性能達成機、そしてもう一つが、数百年後でも最前線で戦う事の出来るマシンアーマノイド、この二つですね」


「専門分野以外の話題にも対応出来るように頑張ります…。それにしても開発コンセプトですが一つ目のコンセプトはどうにかなるにしても二つ目は…、普通は無理ですよね…?」


「ええ。実際このプロジェクトに参加した多くの技術者、研究者達が不可能だと言いましたからね」


「その中で唯一、セレス博士だけが出来ると発言した、と…」


「ええ、そうです」


「そして博士が二つ目のコンセプトを実現させる方法として提案したのが、機体のパーツの全てを自己再生、自己増殖、自己進化の三大理論を組み込んだナノマシンで構成する、という耳を疑う提案だった、と…」


「ええ。最初聞いた時は私もそんな物が出来るのかと疑っていましたからね。それを宣言通りに組み上げて見せたセレス博士には本当に驚かされたものです…」


そう言ったテイルは当時を振り返り懐かしそうに目を細めた。

そんなテイルの様子を見ながら先生が続きを促すように話し掛ける。


「それで現在この…なんとも言えない構造物の中でワイバーンの進化が行なわれている、と」


「…ええ。これで三年の間に行なわれた技術革新に追い付けます」


「…三年間の技術革新に数日で追い付くとか…。技術者達が聞いたら泣くでしょうね…」


「そこは仕方がないと割り切りましょう。このシステムを考案して実現させたセレス博士が凄すぎるだけですから」


「まぁそうなのでしょうな。…それで姫様?」


「はい、何でしょう?」


「ワイバーンの現状把握が終わったのでしたら見ていただきたい事があるのですが…?」


そう話し掛ける先生にテイルが返事をする。


「ええ、大丈夫、わかっています。自警団の皆さんのマシンアーマノイドに装備して貰う為の遠距離砲撃戦用武装の調整の作業状況、ですね?」


「…はい。よろしくお願いします」


この先生の言葉でテイルはワイバーンの元を離れて作業中の作業員の元に向かうのだった。

一方で自分が言うより早く要点をテイルに言われた先生は驚き半分、相変わらずの察しの良さだと感心半分でテイルの後に続いて作業中の十数人の元に向かって行った。


「失礼します。作業状況はどのような感じでしょうか?」


「はい、現在はロングレンジレーザーキャノンの最終調整を行なっています」


「そうですか。後どの位で完了しそうですか?」


「後一時間もあれば問題無く終えられると思います」


「わかりました。引き続きよろしくお願いします。先生、行きましょう」


「わかりました」


こうして作業中の十数人に作業の続きを任せてテイルと先生は現在地の第一格納庫から隣の第二格納庫へと向かって行った。

この第二格納庫でも十数人の作業員が作業を行なっており今度はそちらの様子を見に来たのである。


「失礼します。こちらの作業状況はどうなっていますか?」


「ええ、今はマシンアーマノイドとの接続部分の調整を行なっています」


「そうですか。本体の調整は終わったのですか?」


「ええ、バッチリです」


「わかりました。では残りの作業も任せます。先生」


「はい、次の場所に向かいましょう」


この第二格納庫での作業の進捗状況の確認も終わらせたテイルと先生は続けて地上で行なわれている自警団員の実戦演習の様子を見に巨大シェルター(?)から地上に向けて歩いていった。


「お、やってる、やってる。なかなか良い感じですね」


地上に出てきて演習の様子を見たテイルは満足そうに感想を言うと演習の監督役をしている自警団隊長に直接現在の状況を確認するべく話しを聞きにいった。


「隊長さん、今、少しいいですか?」


「ん?ああ、テイル様。おお、懐かしい髪色に…」


「うふふ、ありがとうございます♪それで今、いいですか?」


「ええ、大丈夫です。…演習の途中経過ですか?」


テイルの次の言葉を予想して自分から報告しようとした隊長だったがテイルが隊長に聞きたい事は演習の途中経過よりも他にあったのである。


「それもありますがそれよりも…」


「…?何でしょう?」


「隊長さんの名前をまだ聞いていませんでした。とりあえずそれからお願いしたいのですが…?」


「…あ」


テイルにそう言われて隊長はテイル達にまだ自己紹介をしていない事に気が付いた。

その為に隊長は慌てて自己紹介を始めるのだった。


「も、申し訳ありません姫様!え、ええっと、自分の名前は……!?」


「あ、そんなに慌てなくても大丈夫ですからとりあえず落ち着いて…」


「うぅ、申し訳ありません…。えぇと、自分の名前はトーブル・マチフと言います。元フェリアシティ王国軍第五艦隊の所属でありました。当時の階級は中尉でありました」


トーブルの簡単な自己紹介が終わってすぐにテイルがトーブルに質問を始めた。


「元軍人…それも第五艦隊の所属だった?…という事はライトの部下だったんですね?」


「ええ、そうです」


「ということは…ライトが今どこに居るのかがわかったりは…しませんよねぇ…?」


「…はい、申し訳ありません…」


そう言って肩を落とすトーブル。

その様子を見たテイルは慌ててトーブルに声を掛けた。


「あ、そんなに落ち込まないで下さい。私も、出来れば居場所がわかれば良いなぁ、という程度の考えなので…」


こう言ってトーブルを慰めたテイルだったがその心の中では正反対の事を考えていた。


(うーん、あわよくばライトの居場所の確認と連絡がしたかったんですけどそう都合良くはいきませんか…。こうなると不確定要素の一つが本気で不確定になりますねぇ…)


と、トーブルには気付かれないように表情には一切出さずに落胆していたテイルだったがこれ以上無言でいるとトーブルを不安にさせそうだと考えて全く違う事を聞いてみた。


「それはそうと演習の方はどうですか?先程の感じだと良い動きをしてるなぁ、とは思ったのですが…?」


「あ、ええ、そうですね、動きそのものは良くなって来ています。後は実戦でも同じように動けるか、ですね」


「そうですね…。…あ、そうだ」


「何でしょうか?」


テイルの言葉にノータイムで聞き返したトーブル。

直後、彼は続くテイルの言葉に目が点になるのだった。


「明日になればワイバーンが動かせるようになりますから明日の演習にはワイバーンの慣らし運転も兼ねて私も参加しますね」


「…え?テイル様が?演習に?」


「ええ。…いけませんか?」


「いえ、いけなくはありませんが…。テイル様相手だと今演習中の十名と自分も参加しての十一対一でも秒殺される未来しか想像出来ないのですが…?」


やんわり無理ゲーだと言ったトーブル。

しかしテイルのやる気は微塵も揺らがなかった。


「このレベルの演習で秒殺されるようなら魔王軍ロイヤルガード三十名相手の戦いでは私も含めて全滅しますよ?」


「う、うぅ…」


「それが嫌なら私相手の演習で頑張って貰わないと。本当に全滅ですからね?」


「うぅ…わかりました…秒殺覚悟で挑ませていただきます…」


「ええ、頑張りましょうね」


テイルから念押しするように全滅するぞ、と脅されたトーブルは渋々ながらテイル相手の演習を行なう事を了承したところでテイルのある言葉が頭の中の何かに引っ掛かり、その引っ掛かった何かを確認するべくトーブルはテイルに質問するのだった。


「…あ、そういえば、姫様?」


「何でしょう?」


「先程ここに襲撃してくる相手が魔王軍ロイヤルガード三十名とか言われた気がするのですが…?」


「ええ、言いましたね」


「…えぇと……マジですか?」


テイルの返答に思わず上官や王族への言葉遣いとしてはアウトな発言をしてしまったトーブル。

しかしテイルはその発言を一切気にせずニッコリ笑うとトーブルの発言への返答をしてみせた。

それもトーブルが驚く形で。


「ええ、マジで御座いますわ♪」


「……は?え?」


テイルの発言に思わず再度不躾な発言と態度をとってしまったトーブル。

そしてそのままフリーズしてしまったトーブルにテイルが若干申し訳なさそうに声を掛けた。


「…あの、大丈夫ですか?」


「…あ?え?あ?……あ、はい、大丈夫です!問題ありません!」


「すいません、まさかこんなに動揺されるとは思っていなくて…」


「いえ、申し訳ありません…。まさか姫様があのような言動をされるとは思ってもいなかったもので…」


フリーズの理由を正直に話すトーブルに一言、


「ああ」


と、呟いたテイルは続けてトーブルがフリーズした言動を行なった理由を話し始めた。


「ごめんなさい、私はどうやらイタズラ好きみたいですから♪」


「…は?イタズラ好き…みたい?ですか?」


てへぺろしながら答えるテイルに半分呆然としながらテイルの発言を繰り返したトーブル。

その二人に演習の見学に飽きたらしい先生が近付いてきた。

そして若干微妙な空気になっているトーブルとテイルに話し掛けていった。


「ん?どうしたんだ二人共?特にトーブル。なんとも言えない表情になってるぞ?」


「あ、いや…ちょっとありまして…」


「…ん?ちょっと?」


先生の質問に答えを濁したトーブル。

そして答えを濁された結果頭に?マークが乱舞する事になった先生。

その先生に話し掛けたのは一連の件の張本人と言って良いテイルであった。


「私がちょっとしたイタズラをしたんですよ。それが予想外だったらしくトーブル曹長がフリーズしたんですよ。そしてフリーズ状態から回復したのがついさっき。なんとも言えない表情なのはその為でしょうね…」


と、申し訳なさそうに説明を終わらせたテイル。

それを聞いた先生が、


「ああ、なるほど」


と、呟き、続けてトーブルに説明を始めたのである。


「姫様のイタズラ好きを知っているのは一部の者だけだからな。トーブルが知らなかったのも当然の事だろうし、トーブルは気にする事は無いだろう。問題は…」


そこで一区切りして視線をテイルに向けた先生。

そして向けられたテイルはパッと無関係の方を向いて先生の視線から逃れようとしたのである。

ただ先生の方は手慣れたやり取りなのか、テイルが無関係の方を向いて視線を合わせなくしているのを完全に無視してテイルに説教を始めるのだった。


「姫様?以前から言ってますよね?初対面や初対面に近い相手にはイタズラするな、と。わかっておいでですか?」


「ハイ、ワカッテイマス」


「片言にならない。説教を続けますが姫様はご自分の立場をわかっておられないでしょう?国が滅びたとはいえ姫様は国家元首ですよ?イタズラを行なう頻度は月一回程度とはいえ相手次第では国際問題に発展します。わかっているのですか?」


「その辺はTPOを考えたイタズラを…」


「止めるという選択肢を選んでください。今のところ主な被害者がお姉上や妹君に集中しておられるから大きな問題になっていないというだけなのですよ?」


「…ハンセイシテイマス」


「反省していないでしょう、片言なんですから。とりあえずイタズラ禁止令は発令しておきます。よろしいですね?」


「…期限はどの程度でしょうか?」


「無期限です」


「…oh」


「oh、ではありません。よろしいですね?」


「…罰則等は?」


「当然あります」


「…………先生、一つ質問があります」


「何でしょう?」


「…私を裁ける人間がここにいますか…?」


若干勝ち誇った表情で先生に尋ねたテイル。

一方の先生はそんなテイルの発言に慌てることなく言い返した。


「今はいませんよ。ですが近い内にお姉上や妹君と合流されるでしょう?」


「…しますね」


「でしょう?ですから合流される時に、合流するまでに姫様が行なったイタズラの回数をしっかり数えておいて、経緯と回数をレガシア様に報告して、レガシア様にみっちり叱って貰います」


「…そう来ましたか…」


「ええ。ですからイタズラをなさる、という選択肢はおすすめしませんよ?」


「…レガシア姉様のご飯だけスペシャルにして懐柔しようかしら…」


「…それは計画を話している時点で破綻するのでは?」


「あ…」


「…やれやれですな…」


「やれやれですねぇ…」


こう言って二人の会話は一応の決着をしたのであった。

そしてこの間黙って聞いていたトーブルが二人に話し掛けたのである。


「あの、少し良いですか?」


「ええ、何でしょうか?」


「姫様のイタズラの頻度は月一回程度なんですよね?」


「…そうですね」


「近い内にお姉上や妹君と合流されるんですよね?」


「…そうですね」


「…ではイタズラする時間も無いのでは?」


当然のように浮かんだ疑問を二人にぶつけてみたトーブル。

それにテイルは目を逸らし、先生はふぅと溜め息を吐いてトーブルに説明を始めたのである。


「甘いな、トーブル。姫様は三年間別人になっていたんだぞ?その別人になっている間、私はずっと一緒に暮らしていたがその時の姫様は全くイタズラをされなかったのだ」


「だったら安心じゃないですか」


再び疑問を口にしたトーブルに先生が続きを話す。


「話しはこれからだ。姫様の悪癖でしばらくイタズラをしないでいると姫様の心の中に…なんと言うか…溜まっていくらしくてな、一度イタズラを再開するとしばらく確変状態というか…イタズラを連発する期間に突入するんだよ。…そうですよね、姫様?」


そう言ってテイルに視線を向けた先生。

そして視線を向けられたテイルは今度は目だけではなく顔ごと全力で逸らしたのである。

一方で先生の説明を聞いたトーブルがある確認をするために先生に尋ねたのである。


「ということは姫様は今確変状態に突入している、と?」


「ああ、間違いない」


そう説明されたトーブルはふとテイルに目を向けてみた。

そんなトーブルが目にしたテイルの姿は、目に見えるあらゆる場所から冷や汗をだらだら流している、というものであった。

そんなテイルの予想外の姿を見てしまったトーブルが再びフリーズしそうになったところで先生がトーブルに話し掛けた。


「おーい、トーブル。フリーズするなよ?」


「…はっ。すいません、姫様の全く予想外の姿に動揺を隠せませんでした…」


「まあ、わからん話ではないがな。私も最初はそうだったし…な」


「先生もそうだったんですか…」


「ああ。…さて姫様?そろそろ冷や汗をだらだら流すという醜態を晒す、これを止めていただきたいのですがね?さすがにこれ以上は士気に影響しますから」


そう言ってテイルにしっかりするように促した先生。

その言葉に渋々ながら心を落ち着けて冷や汗の量を少しずつ減らしていき、やがて冷や汗を完全に止めたテイル。

そして冷や汗を止めたテイルはすぐにトーブルと先生の二人に謝罪の言葉を述べたのである。


「すいません、取り乱しました」


「あ、いえ、大丈夫です」


「問題ありません。加えて言えばイタズラを控えると言って下されば良いのですが」


「…努力します」


「…それはイタズラを控える事ですか?それともイタズラを控える、と発言する事を、ですか?」


「………そういえば演習の続きはどうなっていますかね?」


「…強引に話題を変えないで下さい」


しかしテイルは先生の言葉をあえて無視してトーブルに話し掛けたのである。


「トーブル曹長、もう少し近くで演習の見学をしましょう。気になった事があればすぐに指摘できるでしょうし…」


「え?いや、あの、姫様?先生は?」


「さあ、行きましょう、すぐ行きましょう!」


そう言ってトーブルの腕を掴んだテイルはトーブルを引きずる勢いで演習現場に向けて走り出したのである。


「…逃げましたね、姫様」


その様子を見て溜め息混じりにそう呟いた先生が二人の後を追って演習現場に行くと、先に到着して演習の見学をしている口数が異常に多くなったテイルとそのテイルに圧倒されているトーブルの姿がそこにはあった。

その様子に先生はすぐに、


(私に声を掛けられないように会話を途切れさせないようにしている…!)


と、気付いてテイルの逃走を許してしまった事を後悔したのである。

しかしすぐに気を取り直して演習の見学をしながらテイル達の会話が途切れる瞬間を待つ事にしたのである。

しかしテイルの演習を見学しながらのマシンガントークは演習が終わるまで止まる事無く、演習が終わった後も先生に話し掛ける隙を一切与えないように先生以外の人物と会話し続けたのである。

そしてそれは食事その他の時間も続いて結局テイルが自室のドアに鍵を掛けて眠りに着くまで先生がテイルに話し掛ける隙は一秒たりとも訪れなかったのだった。

そしてテイルの自室のドアに鍵が掛けられた瞬間、先生は膝から崩れ落ち、


「あの時姫様を逃がすんじゃなかった…」


と、激しく後悔するのだった。

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