《ジェーンへの頼み事》
テイルの頼み事を聞いたジェーンは、交代したあとの展開を考えて若干表情を歪ませていく。
しかしモンゴル軍を撃破することは、NATO軍が現在のウクライナ防衛戦で勝利するための絶対条件であるため、ジェーンはパーチェとの交代を渋々受け入れていった。
「……パーチェと交代か……そうなるとアークワイバーンに残るのは私とレガシア姉様にクオン、それからエスト、そして最後に、ライトか……む~ん……」
「……嫌そうな顔をしますねぇ……まあ予想通りですけど……」
「……そうだろうな……はあ、まあ良い、わかったよ。アークワイバーンに帰ってパーチェと交代してくるよ……」
「お願いします……それからジェーン姉」
「うん? なんだ?」
「ライトとは出来る限り仲良くしてくださいよ? いつも通りに喧嘩するようなら泣きますからね?」
「……努力するさ」
「……よろしくお願いしますよ? 頼みましたからね?」
ライトと仲良くするように。
テイルからこう言われたジェーンがどうにも判断の難しい返答をしていくなか、テイルが念を押すように話していく。
この念押しの言葉を聞いたジェーンは、苦笑いを見せながら頷いていった。
「わかっているよ。だからそんなに念を押さなくて良いよ」
「……本当にわかっていますか?」
「本当にわかっているって!」
「……まあ良いでしょう。ジェーン姉が帰ったあとでレガシア姉様にジェーン姉とライトが喧嘩するかどうかを見張るように頼んでおきますから。良いですよね、ジェーン姉?」
「……わかったよ。それでテイルの気が済むのなら、好きにすると良い」
「ええ、好きにします。というわけでジェーン姉、すぐに帰ってパーチェと交代してきてください。いつモンゴル軍の進攻が再開されるかがわかりませんから」
テイルの念押しにうんざりした表情を見せたジェーンが、テイルの出した条件を丸呑みする。
こうしてジェーンとライトが喧嘩できないような監視態勢を構築したテイルは、ジェーンに早くパーチェと交代するようにと頼んでいく。
このテイルの言葉を即座に受け入れたジェーンは、グレノスキー国王に断りの言葉を伝えると、玉座の間にある窓から外に飛び出していき、そのままアークワイバーンに向けて飛んでいった。
「ああ、わかった……グレノスキー陛下、お聞きいただいた通り、私はこれで失礼させていただきます」
「ええ、わかりました、ジェーン殿下」
「はい……そんなわけでグレノスキー陛下、このままそこから失礼させていただきます」
「……うん? そこから?」
「はい。それでは!」
「……え⁉」
突然窓から飛び出していったジェーンに、グレノスキー国王は驚愕する。
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