《テイル、第三防衛ラインに到着する》
第三防衛ラインに到着したテイルは、すぐにジェーン達と合流してなにがあったのか、今はどのような状況なのかを尋ねていく。
「……皆の魔力反応はこっちの方から感じるんだけど……お、ここかな? ……うん、間違いない、ここだ。皆ここにいる!」
「……あっ、テイルだ! テイルの姿が見えたぞ! おーい、テイルー!!」
「お、皆の姿も見えた。よし、着陸だ!」
「……テイル! やっと合流できたな、まったく……」
「あはは、そうですね。それで、ここに来るまでになにがあったのか、教えてくれませんか?」
「ああ、わかっているよ。まずは第二防衛ラインで起こったことなんだが……」
テイルの求めに応じて、第二防衛ラインで起こったことを語り始めるジェーン一同。
その話に黙って頷いたり相槌を打ちながら聞いていたテイルは、途中で話を聞くだけでは詳しいことはわからないと言って話を遮っていった。
そうしてテイルが自身の考えを話そうとしたところで、ウクライナ軍の兵士が第三防衛ラインにいるNATO軍の全員に対して、今すぐにこの第三防衛ラインを放棄して、キーウ王城に戻ってきてほしい、との王命を伝えてきたのである。
「……ふむぅ……」
「……うん? どうした、テイル?」
「……いえ、やっぱり話を聞くだけではモンゴル軍の強さを理解するのは難しいんだな、と思いまして……」
「……ふむ、そうか……それならどうすれば良いのか……」
「……それで、一つお願いしたいことが……うん?」
「……む? あれは……?」
「ウクライナ軍の兵士だな。しかしなにをしに来たんだ……?」
「解説ありがとうね、ジャン……お、こっちに来た」
「失礼いたします。NATO軍の方々とお見受けしました」
「……ああ、まあ、そうだけど……どうしたんだ?」
「皆様にウクライナ国王さまからの伝言をお伝えいたします。すぐにこの第三防衛ラインを放棄し、ウクライナ王城に戻ってきてほしい、とのことです。どうか、我らが王の頼みを聞き届けてはいただけないでしょうか?」
「……ここを放棄して……」
「ウクライナ王城に……?」
兵士の話を聞いたテイル達は、呆然とした表情でそのように聞き返していく。
そんなテイル達に、兵士は頭を下げながらもう一度同じお願いをしてきた。
これにテイル達はお互いの顔を見ながら複数回頷くと、兵士のお願いを聞いて第三防衛ラインを放棄し、ウクライナ王城に向かい始める。
「……しかし第三防衛ラインを放棄してすぐに王城に来い、とはな」
「……なにか、そうまでして私達を呼び戻さないといけない非常事態が起きた、そう考える必要がありそうですね」
「……そうかもしれんな」
テイルとジェーンはウクライナ王城に向かいながらそのように言葉を交わしていった。
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