《ウクライナ兵達のお願い》
兵士のテンションが駄々下がりしている様子に苦笑いを浮かべるテイルに、兵士がお願い事を話してくる。
「第二防衛ラインに向かわれるということでしたので、第二防衛ラインにいる部隊に敵がモンゴル軍だという情報を伝えてはいただけないでしょうか……?」
「……うん? それはつまり、伝令役になってほしいと、そういうことですか?」
「はい……」
「その程度のお願いなら問題なく引き受けますけど、一つだけ聞きたいことがあります。それをお尋ねしても大丈夫ですか?」
兵士のお願い事を聞いたテイルは、その簡単さに思わず即決してしまったのだが、どうしても気になったことがあったため、その質問をしても良いか? と尋ねていった。
これに兵士は当然です、と答えて質問を受けていく。
「こちらのお願い事を引き受けてくださるのですから、そのぐらいのことは当然です。それで、聞きたいこととはなんでしょうか?」
「伝令役を頼みたい、とのことでしたが、そもそも通信をすれば良い話なのでは?」
「……そのことでしたか……我々もできればそちらの方まず良かったのですが、ここまでボロボロにされてしまって、通信システムも完全に破壊されてしまっていまして……」
「あー、うん、なるほど。そういうことなら確かに私が第二防衛ラインに向かって話した方が早いでしょうね」
兵士からモンゴル軍の攻撃で第一防衛ラインにあった通信機器や設備など、通信システムそのものが破壊されていることを聞かされたテイルは、兵士が自身に頼んできた理由に納得して力強く何度か頷いていった。
そんなテイルの姿を見た兵士達は、改めてテイルに第二防衛ラインの兵士達への連絡を頼んでいく。
「はい、そうなんです」
「そういうことですから旅の方、第二防衛ラインにいる兵達への連絡、どうかよろしくお願いします」
「わかりました!」
兵士達の言葉に元気良く返事をしたテイルが、兵士達にどこか安全な場所に向かうように声を掛けたあと、第二防衛ラインに向けて移動を始めようとする。
そんなテイルに、兵士達が名前を尋ねてきた。
「それでは皆さん、ここはまだ安全とは言えないでしょうから、どこか安全なところに避難していてくださいね?」
「あ、はい。お気遣いくださり、どうもありがとうございます」
「ふふ。では行ってきます!」
「お気をつけて!」
「……あ、そうだ! 旅の方、最後にあなたの名前を教えていただいてもよろしいでしょうか?」
「え? ああ、そういえばまだ名乗っていませんでしたね。私はフェリアシティ王国女王、テイル・フェリアシティです」
「……へっ⁉」
「テ、テイル・フェリアシティ女王⁉」
「あ、あわわわ……」
今まで自分達が話していた相手がテイル・フェリアシティ女王だと知った兵士達は、震え上がってしまう。
閲覧、感想、評価ポイント、ブックマーク登録、いいねありがとうございます!




