《襲撃してきた軍隊は》
テイルの呟きが耳に入ったウクライナ軍兵士達が、どこの国の軍に攻撃を受けたのか、それをポツポツと語り始める。
「……まあ、普通の敵なら我々もあなたのような反応になったでしょうね……」
「……うん? そういう反応をするということは、襲撃してきた軍は普通の敵ではなかった、ということですか?」
「ええ……そうです」
「……では、その敵となった軍隊とは……?」
兵士達の口振りから襲撃してきた軍隊が並みの存在ではないと悟ったテイルが、兵士達へどこの国の軍隊に攻撃されたのか、直接尋ねていった。
この質問に兵士達は、一度深い溜め息を吐いたあとで敵軍隊の正体を答え始める。
「……はあぁ……」
「……なんというか、口に出すのも恐怖なんですが……」
「ですがあなたは我々の命の恩人、答えないわけにはいきませんね……」
「我々を襲った敵の軍隊は……」
「モンゴル軍です」
「! モンゴル軍! もしかして地球最強と言われているモンゴル陸軍騎兵隊ですか⁉」
「ええ、その通りです」
「……なるほど、これがモンゴル軍が通ったあと、ですか……見事な廃墟になっていますねぇ……」
ウクライナ軍兵士達から敵はモンゴル陸軍騎兵隊だと聞かされたテイルは、改めて第一防衛ラインを見渡していく。
そうして出てきた感想は、再建するのにどれほどの時間が掛かるのか? そういった思いも込めた、見事な廃墟になっている、というものになった。
そんなテイルに、ウクライナ軍兵士達が慌てた様子でモンゴル軍が次に狙っている攻撃目標について話してくる。
「見事な廃墟……まあ確かにその通りではあるのですが……」
「……廃墟……あっ! そうだ!」
「うわっ⁉ なんだよ突然⁉」
「どうかされましたか、兵士さん?」
「あの、旅の方、あなたはこれからどこに向かいますか⁉」
「どこに、ですか? とりあえずは次の防衛ラインを見に行ってみようと考えていますが、それがなにか?」
「次の防衛ラインということは、第二防衛ラインですな⁉」
「……そうなると思います。ただ、また同じ質問をするのですが、それがなにか?」
「旅の方、あと一つだけお願いしたいことがあるのです! 頼まれていただけますでしょうか⁉」
「……内容によります。まあとりあえず話してみてください。引き受けるかどうかは内容を聞いてから決めます」
「……そうですか……わかりました。それでは話すだけ話してみます……いきますよ?」
テイルの返答を聞いた兵士は、落胆した様子でお願い事を話してきた。
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