《ヨハネス王への虚偽報告》
すれ違う兵士達すべてに敬礼されながら玉座の間に向かうテイル達。
そうして到着した玉座の間の前で、テイル達は門番の兵士達に玉座の間に入らせてほしいと頼んでいった。
「……それにしても、すれ違う兵士が一人の例外もなく敬礼してくるのは正直肩が凝るね」
「そりゃしょうがないだろう。アメリカ帝国の皇子に、フェリアシティ王国の女王に、同じくフェリアシティ王国の王女に、エルヴァンディア王国の王女に、魔界では知らないものはいない大貴族の後継者だぞ? 敬礼してこない方がおかしいだろう」
「そういうものか……おっと、玉座の間に到着しましたね」
「そうだな。やあ、門番君、ヨハネス陛下に報告をしに来たんだが、玉座の間に入れてもらっても良いかな?」
「これはジャン殿下! もちろんです、どうかお通りください!」
「ありがとう」
ジャンの言葉に応じて玉座の間の扉を開けていく門番達。
そしてすぐに玉座の間に入っていったテイル達を、ヨハネス王が満面の笑顔で出迎える。
そんなヨハネス王に、テイル達がポーランド軍補給武体になにが起きていたのかの報告を始めて良いかを尋ねていく。
「おお、ジャン殿下、テイル陛下、ジェーン殿下、よくぞご無事で!」
「心配してくださり、まことにありがとうございます、ヨハネス陛下」
「我が国で起きている問題の解決を押し付けてしまったのです。当然のことでしょう」
「はは、そうですか。それでは話題にも出たことですし、その問題についての報告を始めていきましょうか」
「おお、そうしてくださいますか。最近は気になり過ぎて胃痛の原因にもなっていましたからね……」
「あらあら、それは大問題ですね。わかりました、すぐに報告を始めます」
「よろしくお願いします、テイル陛下」
ヨハネス王の身体の調子を聞いたテイルは、すぐに報告を始めてヨハネス王の体調の回復をしなければいけないと判断した。
そのためテイルは、すぐにヨハネス王の体調が良くなるような虚偽の報告を始めていく。
「はい、では報告を始めていきます。補給部隊に起きていたことなのですが、魔王軍の攻撃でした」
「むっ! 魔王軍の仕業でしたか! 我々は共産軍の攻撃ではないかと思っていたのですが……」
「まあ共産軍から魔王軍に出撃要請があったみたいですから、その考えもそれほど間違っていないとは思うのですけれどね」
「そうでしたか……それでその魔王軍の攻撃部隊でしょうか? それはどうなりましたかな?」
「すべて撃退しました。ですからしばらくの間は大丈夫でしょう」
「おお、そうですか! ということはこれで補給部隊に起きていた問題は解決した、ということですな!」
「そうですね、そうなるはずです」
「そうですか……いや、ありがとうございました、テイル陛下。それに皆さんも」
テイルの報告を聞いたヨハネス王は、安堵の息を吐いていった。
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