《王宮に入るために》
武器を構えるポーランド兵達に対して、テイルはジャンに身分証をポーランド兵に見せて王宮内に入れてもらえるように頼んでほしいと話していった。
「……おお、これは完全に不審者だと思われているか、襲撃が行われたと勘違いをされているね」
「どうするつもりだ、テイル?」
「そうですねぇ……ここはやっぱりジャンに頼んで兵士達に身分証を見せてもらって、王宮に入れてもらえるように頼んでいくのが最善の方法だと思います」
「やっぱりそうなるのかよ……」
「仕方ないでしょ、私達のなかで地球圏で一番影響力があるのは今のところジャンなんだから」
「まあそれはそうなんだが……はあ、仕方ないな……」
テイルの話を聞いたジャンは、大きな溜め息を一度吐いたあとでポーランド兵達に近づいていく。
そんなジャンにポーランド兵達は武器を構えて威嚇してきたのだが、ジャンはその威嚇を半分無視しながら兵士達に近づいていき、身分証を提示していった。
「待て! そこで止まれ!」
「まあまあ兵士諸君、少し落ち着いてくれたまえよ」
「ふざけているのか⁉ 止まれと言っているんだ!!」
「まあ落ち着いて、これでも確認してくれたまえ」
「ふざけるな! それから指示に従って止まれ!」
「わかったわかった。止まるから、俺の身分証を確認してくれよ。それでとりあえずはわかるはずだから」
「ふん! これが一体なんだと……げえっ⁉ こ、これは⁉」
「……うん? どうしたんだ? 変な声をあげて?」
「あ、あわわ……こ、これ……これを……」
「なんなんだよ一体……うげぇっ⁉ アメリカ帝国第二皇子、ジャン・F・ケネディ⁉」
「ひ、ひえっ⁉ ジャン殿下⁉」
ジャンの身分証を見たポーランド兵達が全員悲鳴をあげていく。
そんな兵士達に、改めてジャンが声を掛けていった。
「どうだ? とりあえずはこれで不審者集団でもポーランド王宮を襲撃にやってきた侵略者でもないとわかってくれたと思うんだが?」
「ひっ⁉ あっ、はい! それはもちろん!」
「そうか。それなら俺の背後にいるあいつらも含めて王宮に入らせてもらいたいんだが? ヨハネス陛下に報告しなければいけないことがあるからな」
「わ、わかりました! どうぞお通りください!」
「お連れの方々もどうか! お通りください!」
こうして道を開けていった兵士達。
テイル達はそんな兵士達を横目に王宮内に入っていった。
そうして王宮に入り、兵士達の姿が見えなくなったところでテイルがジャンに声を掛けていく。
「ふふ、やっぱり持つべきものは権力だね」
「……それは悪人のセリフじゃないか?」
テイルの言葉にジャンはそう答えて溜め息を吐いていった。
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