《輸送部隊への説明》
元怪盗団の一同を連れてポーランド軍輸送部隊を待たせているところまで戻っていったテイルとジェーンは、早速なにをしてきたかの報告を始めていった。
「やあ皆さん、ただいま戻りました」
「おお! テイル女王陛下にジェーン殿下! ご無事でなによりです!!」
「あなた達も出迎えありがとうございます」
「はい! ……あの、それでなのですが、その背後にいるもの達が……?」
「ええ、怪盗団の一同です」
「おお、そうですか!」
「ありがとうございます、テイル女王陛下! ジェーン殿下!」
「それではすぐにでも我々に引き渡しを……」
「ああ、そのことなのですが」
「……うん?」
「怪盗団は全員私達の軍に加えることに決めました。あなた達にも文句は言わせません」
「……は?」
「……え、ええーーっ⁉」
テイルの報告を聞いた輸送部隊員達は全員が悲鳴をあげていく。
そうして次々とテイルに抗議してきた。
「な、なにを言われるのですか、テイル陛下⁉」
「その怪盗団は我々が連行して、我が国の裁きを受けさせなければならないのです!」
「そうです! いくらテイル陛下の言葉とはいえ、聞けるものと聞けないものがあります!」
「先ほどのテイル陛下の言葉は聞けないものの部類になります!」
「……ふむぅ……そうですか……なるほどねぇ……」
輸送部隊員達の非難を聞き終えたテイルが軽く頷きながらそのように呟いていく。
そんなテイルの姿と、鼻息を荒くしている輸送部隊員達の姿を交互に見ることになった怪盗団一同は、おろおろしながらこのやり取りの行方を見守る。
そうしていると、テイルがニヤリと笑いながら輸送部隊員達に話し掛けていった。
「なにがなるほどなんですか⁉ 我々は真剣に話しているのに⁉」
「真剣に、ですか。ふふふ、まあ……そうでしょうねぇ」
「なにがおかしいのですか⁉」
「いえ、今の状況は私達の方が圧倒的に優勢なのに、それをわかっていないような話し方をされているのが面白くなってつい、ね」
「……テイル陛下達の方が、優勢?」
「ええ。例えば次の一言で皆さんは私達の意見に逆らえなくなってしまいますからね」
「……たった一言で……?」
「そんな魔法のような一言があるのですか……?」
テイルの言葉を聞いた輸送部隊員達が嘘を吐いているんじゃないかと疑っていたのだが、このあとテイルが発した言葉で本当に逆らえなくなってしまう。
「ええ。ではいきますよ? 覚悟は良いですね?」
「……は、はい……」
「それでは。私達の意見に従ってもらえないようなら、ポーランド王にすべてを話しますよ?」
「……!!!!」
「な……なっ⁉」
テイルの言葉を聞いた輸送部隊員達は全員が絶句した。
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