《テイル達と元怪盗団、帰還前》
テイルの言動を受けたジェーンは、テイルに脅迫された時の輸送部隊員達の表情を想像して思わず吹き出していく。
そんなテイルとジェーンのやり取りを見ていたリノ達は自然と冷や汗を流していった。
「……ぷはっ! くっくっく、ポーランド軍輸送部隊を脅迫か! それはまた面白いことになりそうだな!」
「でしょう? あとはジャンやアーシア達への説明になるのでしょうが、そちらの方はなんの心配もないでしょう」
「確かにな。そうなるともう戻るようにしても大丈夫なのか?」
「そうなりますね。ということなのでリノさん、それから怪盗団の皆さん!」
「……うえっ⁉」
「は、はいぃ⁉」
「そろそろ移動しますよ。あまり遅くなると皆が心配するでしょうから」
「あ、はい、わかりました……」
「……ん? どうした? そんなに変な感じで焦ったりして?」
「え? いや、そんなことは……ない、ですけど……」
「……ふむ……ああ、うむ、なるほどな」
「……え? な、なんだ、あ、いや、なんですか……?」
テイルの問い掛けに冷や汗を隠し、焦りながら答えていく元怪盗団一同に不審の眼差しを向け、なにがあったと考えていくジェーン。
そんなジェーンが、元怪盗団一同の妙な態度の理由に思い当たり、その理由を元怪盗団一同に直接ぶつけていった。
「お前達、私達の会話内容を聞いて、逆らってはいけない人物達に拾われてしまった、そう考えているんだろ?」
「う……」
「隠さなくても良い。普通はお前達みたいな反応になるんだろうしな」
「……そ、そうっすか……あ、いや、そうですか……」
「……言葉遣いが窮屈ならそんなにすぐ変えようとしなくて良いぞ? そんな細かいことで怒るほど気が短くはないしな」
「い、良いんですか⁉」
「ああ」
「やった! 助かります!」
「……うむ」
言葉遣いに関する注意を聞いたリノ達は大喜びでハイタッチをしていく。
そんなリノ達を穏やかな表情で見つめるジェーンに、テイルが心配そうに声を掛けていった。
「……あの、ジェーン姉、本当に大丈夫ですか?」
「うん? 言葉遣いのことか?」
「ええ」
「別に構わんよ。部下達にもそう伝える気でいるしな」
「……そうですか……まあジェーン姉がそう話すのなら、私がこれ以上話すことはありませんが……」
「……不安か?」
「……まあ」
「大丈夫だ。こいつら以上に口の悪いのと接しているからな。ある程度耐性はできているよ」
「……そうですか。まあ、あえてなにも言いませんが……」
「そうしてくれ」
テイルとジェーンはここまで話し合うと、お互いに溜め息を吐きながら俯いていった。
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