《ジェーン対お頭》
ジェーンの言葉を理解したお頭が、ジェーンとテイルに対して一騎打ちに勝った時、双方がどのような恩恵を受けるのかを説明し始める。
「まずあたしが勝った場合だが、人質を全員解放してお前達がここから立ち去る!」
「……ずいぶんと虫の良い話だな……それで? 私が勝った場合のメリットはなんだ?」
「……もう二度と、輸送部隊を襲わない……ようにしたい……できるだけ……たぶん……きっと……」
「……なんだそのお前達の方にしかメリットがない一騎打ちの条件は? ふざけているのか……?」
お頭が話した条件を聞いたジェーンが怒りを押し殺しながらお頭に問い掛けていく。
これに対してお頭は特に返答をせず、不意打ちに近い形でジェーンに襲い掛かってきた。
「うるせえ! とにかくこれで条件は決まりだ! いくぜぇ!!」
「あっ、おい⁉ まだ終わってない……」
「ネオヒューマン能力、音速機動! 発動!!」
「……ええ……?」
ジェーンの言動を完全に無視してネオヒューマン能力を使いジェーンに突撃を仕掛けてきたお頭。
そんなお頭にジェーンは困惑と落胆、さらに失望の三つの感情がごちゃごちゃになった複雑な表情でお頭に対峙していった。
「もらった! 死ねぇ!!」
「……ふぅ……」
「……へ? あ、あれ……?」
「どうしてお頭? こんなものか?」
ネオヒューマン能力の力であっという間にジェーンの死角に回り込んだお頭が、ジェーンの頭部に向けて拳を繰り出す。
しかしジェーンはお頭の攻撃を溜め息交じりで軽く受け止めると、この程度かと言ってお頭を煽っていく。
これにキレたお頭は近くに落ちていた鉄パイプを両手に持つと、再度ネオヒューマン能力を使ってジェーンに襲い掛かっていった。
「……そんなわけないだろうが!」
「そうか。それならさっさと次の攻撃をしてきたらどうだ?」
「言われなくても……!」
「……うん? ほう、鉄パイプの二刀流か、考えたな」
「いちいちうるせえんだよ! 覚悟しやがれ! ネオヒューマン能力発動! 超音速機動!!」
(……くっ、まだこれは負担があるな……すぐに決めないと……)
ネオヒューマン能力の反動にお頭が表情を変えずに苦しむなか、ジェーンはさらにお頭を煽っていく。
「ほう、超音速機動か。まあ私が相手ならなんの意味もない能力になるんだが」
「……そうかよ、なら試してやるよ! 本当に意味がないかどうかなぁ!!」
ジェーンの挑発に乗ったお頭が、今度はジェーンの真正面から突撃して鉄パイプを振り回していった。
しかしジェーンはそのすべてを簡単に避け、適当なタイミングで二つの鉄パイプを掴んでお頭の動きを軽々と止めてしまったのである。
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