《怪盗団のお頭》
上の階層に到着したテイルとジェーンは、その階で待ち受ける形になっていた怪盗団の一員らしい女性と対面することになった。
「次の階では大きな動きがあってほしいですねぇ」
「そうだな。まあそろそろなにか行動してきそうな予感はするが」
「ですねぇ……お、誰かいますよ、ジェーン姉」
「本当だな。おいお前、この廃墟ビルに逃げ込んだ怪盗団の一員か?」
怪盗団の一員らしい女性に対してそのような問い掛けを行ったジェーンに対して、怪盗団の一員らしい女性は高笑いをしながら答えてくる。
「あっはっは! そうだと答えたらどうするんだい?」
「……そうだな、とりあえず捕まえて物資の在りかを喋らせる、こうなるかな」
「あっはっは、そうかい……それは、大変なことになりそうだねぇ……」
「……それはお前が怪盗団の一員だと認めた、という判断をしていい発言になるんだが、それでいいのか?」
「ああ、構わないよ」
「……ふむ、ずいぶん余裕だな? お前達のお頭が捕まるかもしれないんだぞ?」
「あっはっは、それならなにも心配いらないさ」
「……うん? なんでだ?」
自らを怪盗団の一員だと明かした女性の言動に、ジェーンが不思議そうに問い掛けていく。
このジェーンの問い掛けに、女性は相変わらず高笑いをしながら動いていった。
「あっはっは! それはねぇ、ネオヒューマンのこのあたしが怪盗団のお頭で! あんた達はすでにあたし達の罠に引っ掛かっているからさ!」
「なに? お前がお頭だと? 冗談は……」
「いえ、ジェーン姉、多分あいつがお頭で間違いないと思います」
「ん? どうしてだ?」
「一人称です。襲撃現場でお頭と呼ばれていたやつもあたしと言っていましたから」
「……ああ、そう言われれば確かにそうだったな」
テイルの発言を聞いたジェーンが目の前の人物を怪盗団のお頭だと認めたのとほぼ同時に、怪盗団の構成メンバーがそれぞれに銃火器を手にして潜んでいた物陰から姿を現してくる。
その光景を見て勝ちを確信したお頭が、勝ち誇った表情でテイルとジェーンに話し掛けてきた。
「あっはっは! これであたし達の勝ちだねぇ!」
「それはどうかな? まだまだ逆転される可能性があると思うけど?」
「ふん、この状況から逆転されることなんかあるもんか!」
「それはやってみないとわからないよ、可愛い可愛いお頭さん?」
「……あ? 今なんつったお前?」
それまで勝ち誇った表情を見せていたお頭が、テイルの可愛いお頭、という一言でその表情を一変させる。
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