《逃走方面、判明》
不安そうに尋ねてくる輸送部隊員達にジェーンは、さっきお頭に触った時の匂いが残っているからなにも問題はないと答えていった。
「あ、あの、少し良いですか?」
「なにかしら?」
「匂いで追い掛ける、という考えはわかったのですが、怪盗団はもういませんよ? この状況からどうやって匂いで追い掛けるのですか?」
「ああ、そんなことか。それなら問題はなにもない。さっきお頭に触ったから、その匂いがまだ残っているからな」
「……え? まさか、それだけの匂いから追跡可能なんですか?」
ジェーンの返答を聞いた輸送部隊員達が驚きながらジェーンに聞き返していく。
そんな輸送部隊員達に、ジェーンとテイルが笑いながら
実演をしてみようかと尋ねていった。
「あっはっは! そうですよ、可能ですよ。ねぇジェーン姉?」
「ああ。疑うならちょっとやってみようか?」
「……お願いします」
「わかった。それでは……」
テイルとジェーンの話を聞いた輸送部隊員達がジェーンに実演することを求めてくる。
それに応じたジェーンが怪盗団のお頭の匂いから、怪盗団がどこに逃げていったのか探り始めた。
「……すんすん……すんすん……」
「どうですか、ジェーン姉?」
「問題ないぞテイル。お頭の匂いは……こっちの方角からするな」
「こちら、ですか……ワルシャワ方面ですね」
「ワルシャワ方面? 怪盗団のアジトは、ワルシャワ方面にあるのですか?」
ジェーン、テイルの反応を見ていた輸送部隊員達が困惑気味にそう尋ねてくる。
そんな輸送部隊員達にジェーンが答えていく。
「どうもそうらしいぞ。お頭の匂いが風に乗ってワルシャワ方面から漂ってきているからな」
「……ワルシャワ方面……あの、本当にワルシャワ方面で間違いないのですか……?」
ジェーンの返答を聞いた輸送部隊員達は、全員がそれぞれの顔を見回したあとで再度ジェーンに尋ねていく。
これにジェーンは、怪盗団は間違いなくワルシャワ方面にいる、と力強く断言していった。
「間違いない。ワルシャワ方面だ。連中のアジトは間違いなくワルシャワ方面にある」
「……ですが……」
「なあ?」
ジェーンの力強い断言を聞いてもまだ疑いの目を向けてくる輸送部隊員達に、テイルが声を掛けていく。
「そんなに疑うのなら怪盗団を捕まえてきましょうか? もうアジトはわかっているのですから」
「……はあ……」
「……まあ、そこまで言われるのでしたら……」
「決まりですね。行きましょう、ジェーン姉」
「ああ」
輸送部隊員達にそう言ったテイルとジェーンが、怪盗団を追ってワルシャワ方面に走っていった。
閲覧、感想、評価ポイント、ブックマーク登録、いいねありがとうございます!




