《報告をしなかった理由》
テイルは崩れ落ちていった輸送部隊員達に一切の情けを掛けることなく、質問を続けていった。
「そんな感じで落ち込んでいても手を抜く気は一切ありませんからそのつもりで」
「う、うぅ……」
「それで次の質問ですけど、あいつらの部隊名とかは知っていますか? もし知っているのなら聞いておきたいんですけど」
「……そ、それは……」
テイルに謎の集団の部隊名を尋ねられた輸送部隊員達は、あからさまに目を逸らして口ごもる。
そんな輸送部隊員達の対応に腹を立てたテイルは、ここで見たこと、聞いたことをヨハネス王にすべて報告すると言って輸送部隊員達を脅迫していった。
「……なに? どうしてすぐに答えないの?」
「い、いえ、我々もあいつらの部隊名を知らないもので……」
「ふぅん、そう。まあ良いわ、今までここで見聞きしたことのすべてをヨハネス陛下に報告することが今のあなた達の態度で決定しましたから」
「え、ええっ⁉」
「当然でしょう? 謎の集団に物資を奪われ、その報告は国王の耳に入らないように揉み消す、こんな不真面目な兵士達は国王から直接お叱りの言葉を受けないとまともな兵士にならないでしょう?」
「う、うぐ……」
「この報告をヨハネス陛下にしてほしくなかったらおとなしくあの集団の部隊名を教えなさい。知らないとかいう嘘は認めませんからね?」
「……わかりました。あいつらの部隊名は、『駆け抜けろ、烈風疾風怪盗団』、です……」
テイルの脅しに屈した輸送部隊員達は、遂に謎の集団の部隊名をテイルとジェーンに話していく。
こうして遂に謎の集団の部隊名を知ることになったテイルとジェーンは、なんとも言えない表情でお互いに顔を見合わせると、順番にその感想を話していった。
「……駆け抜けろ、烈風疾風怪盗団……?」
「……カッコ悪……」
「だっさ……」
「そしてそんなふざけた連中に好き放題されているあんたらもめちゃくちゃカッコ悪いぞ」
「う、うぅ……」
こうしてテイルとジェーンからボロクソに言われた輸送部隊員達は泣きながら呻くことしかできなくなってしまう。
そうして泣いている輸送部隊員達に、テイルがとある質問を行っていく。
「……あのさぁ、もしかしたらだけどさぁ、あなた達がヨハネス陛下に報告していない理由って、やられている集団の名前がカッコ悪いから、そうじゃないですよね?」
「……」
「おいまさか……」
「……仰る通りです……」
テイルの質問に答えた輸送部隊員達は、泣いている状態のままで俯いていった。
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