《テイルとジェーン、輸送部隊を詰めていく》
お頭の指示が出た次の瞬間、部下達は持てるだけの物資を持ってこの場から退散していく。
その一方でお頭を抱えた部下は、隠し持っていた催涙ガスと煙幕を使ってテイル達の足止めを行ったあとで退散していった。
「……あら、全員に逃げられましたねぇ」
「そうだな。まあ手掛かりは手に入れたが」
「ほう? さすがですね、ジェーン姉」
「ああ、まあな」
輸送物資強奪犯が逃げていったあとでそのように感想を話していたテイルとジェーン。
ここでジェーンが少しだけ話を変えていく。
「ところでテイル、気になっていることがあるんだが……」
「輸送部隊員達ですよね? まだ無理そうですよ。とりあえずこの催涙ガスと煙幕をどうにかしないと」
「だよなぁ……」
ジェーンとテイルはそのように口にしながら、先ほどからずっと悶え苦しんでいる輸送部隊員達に目を向ける。
これに輸送部隊員達は反応できずに苦しんでいるだけの状態が続き、これを見かねたテイルとジェーンが輸送部隊員達の救済に乗り出していく。
「仕方がない。催涙ガスと煙幕は私がどうにかするから、テイルは彼らの治療をしてやってくれ」
「わかりました」
「よし。ではやるか。それっ!」
テイルに治療を任せたジェーンは、その場でギガストームを使って催涙ガスと煙幕を吹き飛ばしていった。
こうして催涙ガスと煙幕の脅威がなくなったところで、テイルがフルヒーリングを使って輸送部隊員達の治療を行っていく。
「よし、これで全員治療完了、と」
「あ、ありがとうございます。助かりました……」
「本当に? 本当に助かったと思っていますか?」
「はい、それはもちろんです」
「そうか。それならあの連中について、知っていることを全部話してもらおうか?」
「……う……」
「助かったと思っているんだよな?」
「……はい……」
「それならこの程度の質問には答えてもらわないとな。なあテイル?」
「ええ」
険しい表情でとんでもない圧を掛けてくるテイルとジェーンに、輸送部隊員達はこの世の終わりのような表情でポツリポツリと物資強奪犯達のことを話し始める。
「……わかりました。それでなにから話しましょうか?」
「そうだなぁ……とりあえず最近報告がなかった原因があいつらかどうかを話してもらおうか」
「わかりました。お察しの通り、報告がないのはあいつらのためです」
「毎回あいつらにやられてるわけ?」
「……はい、そうです……」
「なんで対策しないの? 馬鹿なの?」
「いえ、対策はしていたんです! ガスマスクを着用して!」
「役に立ってなかったじゃない」
「……う、うぅ……」
テイルから厳しい指摘を受けた輸送部隊員達はその場に崩れ落ちていった。
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