《奪われる物資》
輸送部隊員達に対して凄まじいスピードで接近してきたお頭は、そのままの勢いで輸送部隊員達が着用していたガスマスクを無理矢理に引き剥がしていく。
すると催涙ガスをまともに吸ってしまう状態にされてしまった輸送部隊員達は、おもいっきり催涙ガスを吸い込んでしまい全隊員が行動不能の状態になってしまう。
「グ、グホッ⁉ ゴホッ⁉」
「ガハッ⁉ グゲホッ⁉」
「あっはっは! 皆今のうちだよ!!」
「はい、お頭!」
輸送部隊員達が使い物にならなくなったことを確認して高笑いをしたお頭が、部下達に物資を奪って帰るように指示を出していく。
この指示に即座に返事をした部下達が次々と物資に群がっていくなか、お頭は次の標的をテイルとジェーンに定め、輸送部隊員達に仕掛けたように高速移動で接近してきた。
「あっはっは! ……さぁてお次は、あんた達だよ!」
「……うん? 私達か?」
「どうやらそのようだな、テイル」
「……あれ? なんか余裕っぽいけど……まあ良いか! そんじゃあ行くよっ!」
テイルとジェーンの態度に不審なものを感じながら、その感覚をあえて無視してお頭がテイルとジェーンに突っ込んでくる。
これに対してテイルとジェーンは軽~く身構え、お頭が突っ込んでくる瞬間に備えていった。
「……ほら、あんたらもガスマスクを……ってあれ? ガスマスクを……着けてない……?」
「そうだよ。この程度の催涙ガスなら、私達にはガスマスクなんて必要ないからね」
「……ちっ、バケモンがよ。それならさっさと逃げさせてもらうだけだね!」
テイルとジェーンがガスマスクなしで行動していることに驚愕したお頭は、すぐに撤退することを決断していく。
そんなお頭に対して、ジェーンがネオヒューマン能力を発動させて確保しようと動き出す。
「そうはさせない。ネオヒューマン能力発動!」
「はっ、無駄無駄。誰もあたしに触ることは……ってあれ?」
「誰もあたしに……なんだって?」
「誰もあたしに触れないって……あれ? あれ⁉」
今まで自身のスピードを自慢していたお頭だったが、ジェーンにあっさりと確保されてしまったことでパニックになってしまう。
そんなお頭を救出するべく部下達のひとりが静かに行動を始めていった。
「お頭は捕まえましたね、ジェーン姉」
「ああ。これであとは部下達だけ……むぐっ⁉」
「うん? ジェーン姉?」
「だ、誰かがなにかを顔の前で!」
「え?」
「今です、お頭!」
「すまん! 皆引くよ!!」
「はい!!」
お頭を救出しに来た部下は、ジェーンの顔に直接催涙ガスを吹き掛けて数秒間ジェーンの動きを止めていく。
その数秒間でジェーンの拘束から逃れたお頭が、改めて部下達に撤退の指示を出していった。
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