《謎の笑い声》
「……うん? なんだこの笑い声?」
「誰だ? それにどこから……?」
突然の笑い声に、テイルとジェーンは笑い声の出所を探して辺りをキョロキョロと見回していく。
その一方でポーランド軍輸送部隊の兵士達は即座に武器を取り出し、いつでもマシンアーマノイドを呼び出せる状態にして付近の警戒を始めていった。
「……武装した?」
「ということは、これから起きるかもしれないことが隠している事態、ということか?」
輸送部隊員達が警戒を始めたことでテイルとジェーンも素手ではあったが周囲の警戒行動を始めていく。
そんなテイル達や輸送部隊員に対して、謎の笑い声の主らしい人物は大量の催涙弾と煙幕弾を発射してきた。
「……あ? 今なんか、上の方で変な音がしたような……?」
「お、テイルも感じたか。なにかを発射したような音が」
「ええ。でもなにが……?」
「お、お二方! ガスマスクは持っていますか⁉ もしくはガスマスクのような物は⁉」
「そんなの都合良く持ってるわけないでしょ?」
「あってもマジックバックのなかだな」
「そ、それなら急いで息を止めて、目を閉じてください! 催涙弾と煙幕弾です!!」
「え?」
「なに?」
輸送部隊員達がガスマスクを装着しながらテイルとジェーンにそう指示を出す。
その指示をを聞いたテイルとジェーンがそう言葉を発した次の瞬間、催涙弾と煙幕弾が地面に着弾し、辺り一面が催涙ガスと煙幕に覆われる。
「だ、大丈夫ですか、お二方⁉」
「うん、大丈夫大丈夫」
「ああ、私も大丈夫だ」
「そうですか……ってあれ? お二方はガスマスクを持っていないと仰られましたが、ガスマスクを取り出して装着されたのですか?」
周囲が煙で覆われた直後、テイルとジェーンの二人を心配した輸送部隊員が二人に声を掛けてきた。
これにテイルとジェーンが普通に応対してきたため、輸送部隊員は二人がガスマスクを装着したのかと思ってそう尋ねていく。
これにテイルとジェーンは、輸送部隊員達がドン引く返答をしていった。
「いえ、装着していませんよ?」
「ああ、私もな」
「え? それならどうして普通に会話ができているのですか?」
「だってこれは対地球人用の催涙ガスでしょ?」
「……まあ、そうでしょうね……」
「私達はあらゆる毒劇物の耐性が化け物並みにありますからね。この程度の催涙ガスではまったく効きませんよ?」
「……そ、そうなんですか……」
「ええ。それよりも皆さん」
「……うん? なんでしょうか?」
「催涙弾と煙幕弾を撃ってきた連中が降りてきます。迎撃用意を」
「は⁉ くっ⁉」
テイルの警告を聞いた輸送部隊員達は、構えていた銃器を上方に発射していった。
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