《本物の輸送部隊との接触》
テイルの質問に、ジェーンが引き続き申し訳なさそうにしながら返答を始めていく。
「いや、最初に囮の部隊がいるとわかったのだから、その時にすぐテイルに知らせに行けば余計な手間を掛けさせなかったんじゃないか、そう思ってな……」
「ああ、そういうことでしたか。それなら別に気にすることはありませんよ。わかったところで本物の輸送部隊と囮の部隊を見分ける方法がわかるわけでないですからねぇ」
「……そう言ってくれるか。それならこちらの罪悪感も多少は軽くなるというものだが……」
「ええ。なので気にしないでくれて大丈夫です。それよりもジェーン姉、本物の輸送部隊を待たせているんですよね?」
「ああ、そうだ」
「それならここで話し合うのはここまでにして、帰って本物の輸送部隊に話を聞いてみましょう」
「わかった、そうしよう。それじゃあテイル、能力を使うからしっかり掴まっていてくれ」
「わかりました」
ジェーンの言葉に従ってジェーンの腕をしっかりと掴んだテイルを連れて、ジェーンがネオヒューマン能力を発動させる。
すると次の瞬間、ジェーンとテイルは本物の輸送部隊が止まっている場所の上空に移動を完了した状態になる。
「ありがとうございました、ジェーン姉。助かりました」
「気にするな。それよりも輸送部隊に話を聞いてみようじゃないか」
「はい、そうしましょう」
自身の提案に軽く頷いて答えたテイルの仕草に、ジェーンも軽く頷いて地上に降りていく。
そんな二人の様子を、降りてきている途中で気付いた本物の輸送部隊が指を差したりして眺めていった。
こうして自分達に輸送部隊の注目が集まるなか降下を続けていったテイルとジェーンは、無事に着陸が完了したところで輸送部隊に挨拶をし始める。
「おお、皆こっちを見てきていますよ、ジェーン姉」
「そうだな」
「あれ? 感想はそれだけですか?」
「ああ」
「そうですかぁ……私は観客が多いとテンションが上がって燃えるんですけどねぇ……」
「そうか。まあ反応はそれぞれだからな。それよりも降りるぞ、準備はできているな?」
「それは問題ありません」
「わかった……よし、着陸成功、と……すまない、待たせたな、ポーランド軍輸送部隊の諸君」
「あ、いえ、それほど待っていないのでお気になさらず……」
「そうか、助かる。では改めて名乗らせてもらうが、私はフェリアシティ王国第二王女、ジェーン・フェリアシティだ。よろしく頼む」
「私はフェリアシティ王国女王、テイル・フェリアシティです。よろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします……」
テイルとジェーンの自己紹介を聞いたポーランド軍輸送部隊の兵士達は、わずかに声を震わせながら顔色を悪くしていく。
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