《輸送部隊とのやり取り》
自身に対して泣きながら感謝してきた兵士に対してテイルは、まだ敵が残っているから細かい話はまたあとで、と言って引き離していく。
「感謝の言葉は嬉しいんですけど、まだ戦闘が終わっていないので少し離れていてくださいね」
「へ? うわっと⁉」
「さて、それじゃあ殲滅していきますか!」
そう言って魔物達との戦闘を再開させたテイルは残っていた魔物達も数秒で全滅させていき、ここにいるポーランド軍輸送部隊の安全が確保されたところで兵士達に声を掛けていった。
「……うん、他にはいないみたいですね。良かった良かった」
「……あ、はい、そうですね……」
「……それで、謎の助っ人殿、あなたはいったいどこの誰なのですか?」
「私はフェリアシティ王国女王、テイル・フェリアシティというものです。よろしくお願いします」
「ぶほっ⁉ フェ、フェリアシティ王国女王⁉」
「ど、どうしてテイル女王がこんなところにいて、我々の手助けをされたのですか⁉」
「うん、それについてはポーランドの国王陛下とある約束をしたから、そうなるのでもしも詳しい話を聞きたい、となりましたらヨハネス陛下に直接お尋ねするのが良いと思いますよ」
「……へ、陛下に直接……?」
「い、いえ、さすがにそれはちょっと……」
「抵抗がありますか。それならあまり興味を持たない方が良いかもしれませんね」
「……わかりました、それではこの問題には深入りしないようにします……」
「それが良いと思います」
テイルの言葉を聞いた兵士達がこれ以上詮索することを止めたところで、テイルは本題である輸送部隊に起きている問題について問い掛ける。
「さて、それで少し聞いてみるのですが、先ほどのような襲撃はよくあることなんですか?」
「い、いえ、珍しいことになります」
「ふむう、そうですか。それなら他に襲撃してくるものはいますか?」
「……い、いえ、そんな存在はいませんが……」
「そうですか、わかりました。そういえば魔物達の襲撃で輸送している物資になにか被害が出ていませんか?」
「……え? あ、それは……」
「うん? どうされました?」
「あ、実はそれなんですが……我々は物資の輸送部隊ではないのです」
「……え? それはどういうことですか?」
「我々はなんの物資も輸送していない囮の部隊になります。本当の輸送部隊は別にいます」
「……囮の部隊? ……ほう、なるほど……?」
兵士達の話を聞いたテイルはそう呟くと、考え事をしながら浮き上がる。
そうして囮の部隊が呆然としながら見守るなか、本当の輸送部隊を探して飛び去っていった。
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