《ポーランド王との会談の終わりに》
ヨハネス王の質問に、テイルは自信たっぷりといったように笑いながら話し始め、これを聞いたヨハネス王も様々に質問をしながら会話を進めていく。
「ヨハネス陛下、陛下の問いにお答えする前に、私からひとつだけご質問をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「うん? ええ、ひとつだけなら構いませんが」
「ありがとうございます。それではお尋ねいたしますが、あの部隊長達は私達がどう行動していく予定なのかをまったく知らないでしょう?」
「それは……そうでしょうな」
「やはりそうですか。それを利用しまして、私達が輸送部隊よりも先に物資集積所に行き、現地調査と聞き取り調査を行ったあとで輸送部隊がやってくる道を逆走してみようと思っています」
「逆走か……ということは物資を輸送してきた部隊と正面から接触することになるのだな」
「はい。そしてその接触した時に、本当になにも起こっていないのか、起こっているなにかを隠していないのか、現地調査に聞き取り調査を行った結果を踏まえていろいろと質問責めにしていこうと考えています」
「……ふむう、そうですか。質問責めに、ですか……」
「……いけませんかね? やめておいた方がいいですか?」
自身の考えを聞いたヨハネス王のなんともいえない反応を見たテイルが、少しだけ不安そうな表情でヨハネス王にこの計画を実行に移さない方が良いかを尋ねていった。
これにヨハネス王は笑顔を見せ、軽く手を振りながらこの計画を実行しても良いと許可を出す。
「はは、いや、実行に移していただいて大丈夫ですよ」
「おお、そうですか。なんともいえない反応でしたから少し不安だったのですよ。あの反応はなんだったんですか?」
「いえ、このあとテイル陛下の質問責めにあうことになる部隊長達のことを考えたら申し訳ないような、面白いような複雑な心境になりましてな」
「そういうことでしたか。しかしそのような理由で面白いようなと言われるとは……ヨハネス陛下もなかなか悪い性格をしておいでですねぇ?」
ヨハネス王の真意を聞いたテイルはとても悪い笑顔を見せながらそのようにヨハネス王に話し掛ける。
こうしてテイルに指摘されたヨハネス王は、自身も悪い笑顔を見せながらテイルに言葉を返していった。
「はっはっは、お互い様でしょう、テイル陛下」
「ふふ、そうかもしれませんね」
「ははは……さて、ふざけ合うのはこのぐらいにして、テイル陛下……輸送部隊長達のこと、よろしくお願いいたします」
「お任せください」
会談の最後に、ヨハネス王はこのようにテイルに頼んできて、テイルは自信に満ちた笑顔で了承していったのである。
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