《輸送部隊隊長への質問》
ヨハネス王に呼び出された部隊長達は、一体なんの用事で呼び出されたのか、それを予想してびくびくしながら謁見の間に入ってきた。
「お待たせいたしました、陛下」
「いや、それはよい。それよりもそなた達に尋ねたいことがある」
「は、はあ……なんでしょうか?」
「物資の輸送中になにか問題が起きていないか? まったく報告がこないことが気になっているのだが……」
ヨハネス王にこう尋ねられた部隊長達は軽く顔を見合わせて頷き、ヨハネス王の質問に答えていく。
「……いえ、なにも問題は起きておりません」
「そうです、陛下。余計な心配は不用でございます」
「ですから陛下、どうか我々のことを信じてください」
自身の質問に対してこのように返答をしてきた部隊長達に、ヨハネス王は不信感に満ちた目で部隊長達を眺めていった。
そんなヨハネス王にテイルが耳打ちを行う。
「……ヨハネス陛下、次の物資輸送を行う日時はご存知でしょうか?」
「うむ? ああ、確か今日の……四時間後に行う予定だったはずですが?」
「四時間後ですか、わかりました。それでは陛下、いつも通りに物資の輸送を行うよう、部隊長達に命じていただけますか?」
「うん? それは構いませんが、なぜですか?」
「理由はあとで説明いたします。ですからお早く」
「わかりました」
ヨハネス王はテイルの言葉にそのように答えたあと、自身とテイルの耳打ちの様子を不安そうに見つめていた部隊長達に、テイルから提案された通りの指示を出していった。
「……ふぅ、そなた達の言い分はわかった」
「……陛下、では……」
「うむ、そなた達の言葉を信じよう」
「おお! ありがとうございます、陛下!」
「よいよい。それよりも今日の物資輸送、いつも通りに任せる。頼んだぞ?」
「はい、お任せください!」
「うむ。では行くがよい。時間をとらせてすまなかったな」
「勿体ないお言葉にございます、陛下」
「それでは準備もありますから、我々はこれで失礼させていただいてもよろしいでしょうか?」
「うむ、問題ない」
「ありがとうございます。それでは失礼させていただきます」
ヨハネス王にそう話した部隊長達が謁見の間から出ていった。
そうして謁見の間に残ったのがヨハネス王とテイル達だけになったところで、ヨハネス王がテイルに先ほどの発言の説明を求めていく。
「……全員出ていきましたな」
「はい」
「それではテイル陛下、先ほどの発言の説明をしていただけますかな?」
「わかりました」
ヨハネス王の言葉を、テイルは笑顔で受け入れていった。
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