《案内役と見張り役》
テイル達が見つめるなか、話し合いを行っていた兵士達。
その話し合いは十数秒で終わったらしく、結論を出したらしい兵士達がテイル達の元に戻ってきた。
「……お待たせいたしました」
「それほど待ってはいませんよ。それで結果はどうなりましたか?」
「はい、アメリカ帝国の第二皇子とそのお付きの方々ならお通ししても問題ないだろう、それが我々の出した結論です」
「……ということは私達は王宮のなかに入っても大丈夫だと、そういうことでしょうか?」
「そのようになります。ですから皆さん、ワルシャワ王宮内へどうぞ。我々がご案内いたします」
兵士達の決定事項を聞いたテイル達は若干不安そうな表情で顔を見合わせると、不安に思ったことを兵士達にぶつけていく。
「……皆さんが私達の案内をしてくれる、と?」
「はい。なにかご不満な点がありますでしょうか?」
「不満な点はありません。不安な点ならひとつありますが」
「不安な点、ですか? どのようなことが不安なのでしょうか?」
「皆さんが私達の案内をするとなると、ここの門番は誰が担当することになるのでしょうか?」
テイルの指摘を受けた兵士達は、それぞれがそれぞれの顔を指差して、
「見張りならこのものが行いますから、心配はいりませんよ」
そのようにテイル達に答えてきた。
これにテイル達は若干の苦笑いを浮かべて反応していく。
「……あの、それだと皆さんがそれぞれに見張りの任を押し付けあっているように見えますよ?」
「えっ? ……あ」
テイル達にそう言われた兵士達は、その恥ずかしさから顔を赤くしていく。
そんな兵士達にテイルはどんな方法を使っても構わないから、見張りに残るものを決めてくれと頼んでいった。
「……」
「……ふぅ、わかりました。それならもうどのような方法を選ばれても大丈夫ですから、私達の案内をしてくれるものとここに残って見張りを続けるものに分けてください」
「……わかりました。皆、ここはじゃんけんで決めるぞ!」
「ああ!」
「おう!」
「勝ったものがジャン殿下ご一行の案内、負けたものが見張りだ。良いな⁉」
「ああ!」
「おう!」
こうしてテイルの発言を聞いた兵士達はじゃんけんで案内役を務めるものと、この場に残って見張り役を続けるものに分かれることを決めていく。
そうして行われたじゃんけんの結果、テイル達の案内役を務めるものは二人になり、残って見張り役を務めるものは三人になった。
この様子を黙って眺めていたテイル達に、案内役になった二人の兵士が王宮内にどうぞ、と言って案内を始める。
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