《テイルとジェーン、討論》
メンバー決めの翌日、朝食を終えたテイル達はすぐに次の目的地に向けて旅立っていく。
その出発の直前、ジェーンがテイルに質問をしていった。
「さてそれでは、全員が朝食を終わらせたみたいだから、次の目的地に向けて出発しようと思います」
「ほーい」
「……なあテイル、出発前にひとつ聞いておきたいことがあるのだが、聞いてもいいか?」
「はい、ジェーン姉様、大丈夫ですよ。それで質問はどのようなものになるのでしょうか?」
「助かる。それでは尋ねるが、私達は今からどこに向かうんだ? 昨日から今日までの間、次の目的地についての情報が一切なかったからな」
「ああ、それですか。実はまだどこに行くかを決めていないのですよ」
「……なんだと? まだ行き先を決めていないだと?」
自身の質問に対するテイルの返答に、ジェーンの顔つきが険しくなる。
そんな険しい表情で自身を見てくるジェーンに、テイルは穏やかな微笑みを浮かべながら声を掛けていく。
「まあまあジェーン姉様、そんなに怖い顔をしないでくださいよ」
「……いや、そうは言うがな、テイル、目的地も決めずに飛び立つのは大問題だと思うのだが、私のこの考えは間違っているのか?」
「いえ。ジェーン姉様の考えは間違っていません」
「そうかそれは良かった。しかしそうなるとテイルの考えが悪い、ということにならないか?」
「なりますよ。それもわかっています」
「だったら……!」
「でも私がひとりで勝手に行き先を決めても良くないとも思っています」
「……む」
ここまでずっとジェーンが押していたテイルとジェーンの討論は、このやり取りで見物していたアーシア達も即座に察知するほど流れが変わる。
ここでテイルは一気にジェーンを捲し立てていき、ジェーンに自身の考えをわからせていった。
「それに出発が急に決まったでしょう? まあその原因は私なんですが……まあそれはそれとして、そんなこともあってここまでゆっくりと次の目的地についての話し合いができなかったじゃないですか?」
「……まあ……そうだな」
「でしょう? ですから今話すしかなかったんです。ですからあまり怒らないでほしいです」
「……はぁ……相変わらずお前は口がうまいな、テイル……」
「……それでは?」
「わかったよ。出発直前にはなってしまったが、目的地をどこにするかの話し合いをするとしよう。皆もそれで良いな?」
こうしてテイルに丸め込まれたジェーンがアーシア達に目的地を決めるための話し合いを開催すると声を掛ける。
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