《ブラストの報告》
自身の言葉に対するブラストの喜び方が微妙なものだったことに対して、司令官は違和感を覚える。
そして司令官はその違和感がなんなのかを知るためにブラストに質問していった。
「……む? 将軍、どうした? やけに表情が固い気がするが?」
「……はっ、実は……武装勢力の壊滅には成功したのですが、その構成メンバーを誰ひとり確保できなかったことで今回の作戦の成功は本来の五割程度だと思っています」
「ぬ⁉ ひとりも捕虜にできなかったというのか?」
「……はい」
「むう、そうか……なにがあった?」
ブラストから反政府武装勢力の構成人員をひとりも捕虜にできなかったと聞かされた司令官は、なぜ捕虜にできなかったのか、その理由をブラストに尋ねていく。
この質問にブラストはテイルの記憶操作魔法で書き換えられた偽物の記憶の話をしていった。
「はっ、それが……大規模な戦闘の終結直後は十数名の捕虜がいたのです」
「ほう、捕虜にできたものはいたのか。それではなぜその捕虜達を連行できなかったのだ?」
「はっ、それが……大規模な戦闘が終わったあと、武装勢力のなかに凄まじい戦闘能力を持った異常存在がいまして、まあその異常存在はテイル陛下が撃退してくださったのですが……」
「おお、そうでしたか。ありがとうございます、テイル女王陛下」
ブラストの説明を聞いていた司令官は話の途中でテイルに感謝の言葉を伝える。
これにテイルが微笑みを浮かべながら会釈をして受け止めていく。
そんなテイルの仕草を見た司令官がブラストに報告の続きをするように促していった。
「友軍として当然のことをしたまでです。礼には及びませんよ」
「そうですか……わかりました。ではお言葉に甘えさせていただきます。さて将軍、話を途中で切ってしまってすまなかった。続きを話してくれるか?」
「はっ、それでその異常存在はテイル陛下が撃退してくださったのですが、異常存在を撃退した直後、捕虜達が突然自爆していったのです」
「なに、自爆……反政府武装勢力の構成メンバー達かか?」
「はい。あまりにも突然の出来事だったので、その場にいた誰もが反応できず、全員の自爆を許してしまったのです」
「……なるほど……そういうことだったか……それで反政府武装勢力の構成メンバーを連れ帰ることができなかったのか……」
「……はい。申し訳ありませんでした」
「いや、それは仕方のないことだろう。あまり気にせず、次に同じようなことが起こらないように注意してほしい。良いかな?」
ブラストの報告を聞いた司令官はブラストにそう声を掛けていった。
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