《偽りの報告》
首を傾げるブラストにテイルが呆れたように見える演技をしながら大事な話をしていった。
「そうですよ、大事な話です」
「……どのような話でしたっけ……?」
「しっかりしてください。捕虜達が自決した話をしないといけないのを忘れてしまったのですか?」
「捕虜達が自決……そうでしたっけ……?」
「そうですよ。いや、それにしてもあれには驚きましたね……」
「あれ……ですか……?」
テイルの言動すべてを不思議そうな表情で聞いていくブラストに、テイルはなんとも言えない表情で続きを話していく。
「ええ。捕虜達が奥歯に隠していた小型高性能爆弾で集団自決した瞬間は、本当になにが起きたのかがわからなかったほどでしたから……」
「捕虜達が……集団自決……? ……うっ……頭が……」
「……大丈夫ですか? ブラスト将軍」
「……ええ、なんとか……大丈夫です……」
「……まあ、無理もないでしょう……あの光景は私でもキツかったですから……」
「そうでしたか……テイル陛下でもショックを受ける光景だったと……それなら俺の記憶が曖昧なことになっているのも納得できますね……」
テイルの話を聞いたブラストが小さく何度も頷いてテイルの話を消化していった。
そんなブラストにテイルが更に嘘の情報を吹き込んでいく。
「まあ確かに、突然目の前にいた反政府武装勢力の捕虜達がいきなり自爆して跡形もなく木っ端微塵に吹き飛んだあれは、ある程度どころのグロ耐性がないとキツいものがありましたからねぇ……」
「テイル陛下がそう言われるのですか……そこまで聞いてしまうともう逆に見てみたいと思ってしまいますねぇ……」
「見ない方がいいと思いますよ? ショックでまた記憶が飛ぶ可能性がありますから」
「そ、そうですか……それなら下手に手を出すのはやめておきます……」
「それが良いと思います」
こうしてブラストが下手に事件の詳細を調べないような情報を吹き飛んだあと、テイルは話を終わらせる方向にもっていった。
「それでこの戦いは反政府武装勢力の壊滅と捕虜の全滅で終わることになりましたが、ブラスト将軍が厳しい処分を受けるようなことになりますか?」
「……厳しい処分を受ける可能性は否定できません。俺が命じられたのは反政府武装勢力の壊滅と、反政府武装勢力のメンバーを生かしたまま連れて帰り尋問することでしたから……」
「そうか……まあいいや、ブラスト将軍を処分しないように圧力をかければ良いだけの話なんですから……」
テイルはそう言ってニヤリと笑っていく。
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