《記憶の改竄》
ドイツ軍兵士が約二千名だと聞いたテイルはすぐにその人数分の魔力を練り始め、同時にブラストに兵士達全員をここに集めるように指示を出した。
「約二千名ですか、了解です」
「……え? テ、テイル陛下?」
「……ブラスト将軍、すぐにその二千名をここに集結させてください」
「え? え⁉」
「全員の集結を確認したところで、一度に全員の記憶を改竄していきますから」
「あ、いや、そのぉ……」
「急いで! 逃げられるかもしれないでしょ⁉」
「は、はいぃ!」
テイルに半分怒鳴られながら指示を出されたブラストが急いで兵士達を呼びに行く。
ブラストがそうしている間に魔力を練り上げたテイルは、いつでも記憶改竄魔法を発動できるように準備をしていった。
テイルがそうやって記憶改竄魔法の発動準備をしている間に兵士達を連れてきたブラストがテイルに話し掛けてくる。
「テ、テイル陛下、連れてきましたよ、ドイツ軍兵士約二千名!」
「ご苦労様です、ブラスト将軍。それではそろそろいきますよ?」
「えっ? あっ、ちょっと待ってください、心の準備が……!」
「いきます! 記憶改竄魔法発動!」
「ちょっ……ああああ⁉」
テイルはブラストの制止を無視して記憶改竄魔法を使用していった。
この魔法が発動した直後、使用者のテイル以外全員が雷に打たれたように激しく痙攣し、そのまま全員倒れていく。
しかし全員がすぐに起き上がり、これまでと変わらない行動をし始めた。
「……さて、これでどうかな?」
「……う? あれ? ここは……?」
「お目覚めですか? ブラスト将軍」
「え? あっ、テイル陛下! はい目は覚めました。しかしこれはなにが……?」
「いや、危ないところでしたよ? もう少しでフィフの置き土産である核自爆の餌食になるところだったんですから……」
「へっ⁉ あっ、そうでしたか⁉」
「そうですよ。覚えていないのですか?」
「も、申し訳ありません……なぜか記憶がはっきりしないのです……」
ここまでのブラストの発言を聞いたテイルは思わず吹き出しそうになったのだが、どうにか堪えるとブラストに対して自身にとって都合の良い話を吹き込み始める。
「ふむ、なるほど……あまりの恐怖で記憶の混濁が起きているみたいですね?」
「記憶の混濁……確かにそうかもしれませんが、しかし……」
「なにか気になることがありますか?」
「あ、いや、なんとなく大事なことを忘れているような気がするものでして……」
「気がする、話ですか……ですがブラスト将軍、今はそんなことよりも大事な話があるでしょう?」
「大事な……話?」
テイルの言葉にブラストは首を傾げていった。
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