《テイル対フィフ その二》
テイルとフィフの剣劇戦闘は両者互角の斬り合いが十数分に渡って続く極めて激しいものになっていた。
「……へえ、今の突きを避けるのはちょっと驚いたね」
「テイルの方こそやるじゃん! 今までの相手だったら最低でも三十回はみじん切りにされてるよ!」
自身との斬り合いについてテンション高く話すフィフに、テイルが軽い溜め息をひとつ吐いてから話し掛ける。
「……ふぅ、ずいぶんと嬉しそうだね、フィフ?」
「そりゃ嬉しいよ! だって久しぶりに楽しいって思える相手と戦えるんだから!!」
「なるほどねぇ……私にとってはこれまでで一番厄介な敵と戦いになってるからちょっと苦しいよ?」
「ええ? テイルは楽しくないの?」
テイルの質問を嬉しそうに楽しそうに答えたフィフに対し、フィフの逆質問に苦しいと答えてきたテイルに、フィフが楽しくないのかと尋ねてきた。
「……そうだねぇ……楽しくないのか、と聞かれたらそれはない、楽しい、とは答えるよ」
「なんだ、やっぱり楽しいんじゃない。苦しいなんて嘘を吐くんじゃないよ」
「楽しいのは事実だけど、苦しいのも事実なんだよ。だってどうやっても当たってくれないんだもん」
フィフの逆質問に答えながら袈裟斬り、連続突きなどの剣技に加えて多彩な蹴り技も含めた波状攻撃を繰り出していたテイル。
しかしそのすべてに対応しながら反撃をしてくるフィフに対してテイルは舌打ちをしていく。
そんなテイルにフィフが相変わらず嬉しそうに笑いながら更に言葉を掛けてきた。
「ちょっとぉ、聞いた話だとテイル達竜人族は神にも戦いを挑む全世界最強の戦闘種族なんでしょぉ? もっと楽しんでくれないとこっちが萎えちゃうよ」
「そう言われても苦しいものは苦しいからねぇ……それに今はフィフみたいなのと戦う予定でここに来てなかったからね、なかなかテンションが上がらないんだよ」
「……ふ~ん……じゃあちょっとテンションが上がるようなことをしてみよっか?」
「へ? ちぃっ⁉」
フィフが話した次の瞬間、フィフのノールック魔法、フルバーストとマキシマムフリーズの二つがテイル機ワイバーンに炸裂する。
「あははっ、良い感じに吹っ飛んだ! さあてどこからどういう感じで戻ってくるかなぁ?」
爆煙のなかに消えたテイル機をとても良い笑顔を見せながら探すフィフ。
この嬉しそうなフィフとは反対に、テイルはフィフをどう攻略するかで頭を悩ませていた。
「ふぅ、どうにか防げたけど問題はどうやればフィフを倒せるか、なんだよねぇ……戦闘能力が私とほぼ同じぐらいだからちょっとやそっとじゃ倒せないし……うーん……」
こうしてテイルが悩んでいる間に、煙幕代わりに利用していた爆煙が少しずつ晴れていった。
閲覧、感想、評価ポイント、ブックマーク登録、いいねありがとうございます!




