《渾身の一撃》
フィフのノールック魔法、フルバーストの直撃を受けて大爆発したテイルとブラスト。
周辺一帯を包む爆炎と爆煙を見て非常に上機嫌でフィフは笑った。
「あっはっはっはっはぁ!! 吹き飛んだ、吹き飛んだぁ!! 気分爽快だねぇ!!」
「あ、ああ、テイルとブラスト将軍が……」
大爆笑するフィフとは反対に絶望の表情を見せるジャン。
そんな二人にライトがゆっくりと穏やかに、子供でも理解できるほど簡単にテイルの状態を説明していった。
「おい、フィフにジャン」
「……んあ? なんだよ、え~っと、電球だっけ?」
「ライトだよ!! それよりも! ずいぶん油断してるみたいだが、あんまりそうしてると死ぬぜ?」
「……え?」
「はあ? あいつとあいつは吹き飛んだだろ? 誰が私を殺すんだよ?」
「ふん、もちろんテイル姉だ」
「……なに?」
「はあ? あいつは吹き飛んだじゃん。なのになんで私を殺しにこれるんだよ?」
「それはもちろんテイル姉が生きてるからだ!」
「なんだと⁉」
「……へぇ? 面白いことを言うねぇ? 魔力も気配も全然感じないけど?」
「そりゃあもちろん両方とも極限まで抑え込んでるさ」
「……ふ~ん……」
ライトの言葉を聞いても未だに半信半疑のフィフに、ライトはそれならば、とひとつの提案を行っていく。
「なあフィフ、私の言葉が嘘だと思っているか?」
「そりゃもちろんそうだね」
「だったらあの爆煙の中心部をよく見ていろ。テイル姉は必ずあそこからお前の顔面を殴りに行くぞ?」
「……ふ~ん……」
ライトに言われた通り、フィフが爆煙の中心部を眺めていると、すぐにフィフの魔力探知と気配察知にテイルの反応がほんの一瞬だけ引っ掛かる。
「……ん? 今一瞬だけ反応が……?」
そのようにフィフが呟いた次の瞬間、爆煙のなかからテイルが恐ろしい速さでフィフ目掛けて飛び出してきた。
「へ⁉ な⁉」
「ぶっ飛べ、フィフゥ!!」
テイルのそのように叫びながら、ライトが予告した通りにフィフの顔面に渾身の力を込めた全力の左ストレートを炸裂させていった。
「ヴゲェッ⁉⁉」
テイルの左ストレートをもらったフィフはそう叫びながら激しく何度も地面に激突し、劇した地面を激しく抉りながら一キロ以上吹き飛んでいき、最終的に岩山に衝突して岩山ひとつを完全に崩壊させながら生き埋めになってしまった。
その様子を見たテイルは、呼吸を整えながら生き埋めになっているフィフに話し掛けていく。
「ふぅ、やれやれ。ちょっぴり派手にやり過ぎたかな? でも最初に派手にやってきたのは向こうだし、私は悪くないよねぇ?」
そう言うとテイルはライトに向けて穏やかに微笑んでいった。
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