《ノールック魔法の恐怖》
ライトの容態を確認し始めたアーシア達に、確認されているライト本人が声を掛けていった。
「ライト、大丈夫か⁉ 生きてるか⁉」
「フェイト、すぐに治療を!」
「わかっています。ですから少し離れてください」
「お、おう」
「ライト、とりあえず返事だけでも……」
「……うるせぇなぁ、生きてるよ……」
「ライト! 良かった!」
「だからうるせぇっての。あ、フェイトありがとう」
「どういたしまして。それよりもダメージはどんな感じ?」
「……久しぶりに火属性攻撃を受けてヤバいって思ったね」
ライトの発言を聞いたアーシア達の表情が青ざめるなか、ライトの発言が意味することのすべてを理解できなかったジャンが不思議そうな表情でアーシア達に尋ねていく。
「……そのレベルか……」
「これは想像以上にマズい相手かもしれないね、あのフィフって奴は……」
「……なぁ、ちょっと良いか?」
「む、どうしたのじゃ、ジャンよ?」
「火属性攻撃がヤバいってだけだろ? なんでそんなに青ざめてるんだ?」
「ええ? ってああ、そういえばジャンはテイル達姉妹の属性を知らないのか……」
「姉妹の属性?」
「ええ。ちょうど良い機会だから話しておくか」
アーシアはジャンの問い掛けにそう応じると、テイル達姉妹の持つ属性について説明し始める。
「まず長女のレガシアさんが水属性、次女のジェーンさんが風属性、テイルが光属性、クオンが闇属性、パーチェが地属性になるの」
「……ということはライトは火属性か?」
「その通り。だからある程度の威力までの火属性攻撃はほとんど効かないんだよね」
「……そう考えるとさっきフィフの火属性攻撃をヤバいって言ったのは……」
「本気でヤバい攻撃だっていうこと」
「……覚えておくよ」
こうしてジャンがフィフの戦闘能力評価を大幅に引き上げているなか、フィフと対峙しているテイルがフィフに質問をしていった。
「……ノールック魔法ってなに?」
「う~ん? ノールック魔法っていうのはねぇ、私が見ている方向や手を差し出した方向、他には魔力や気配を向けている方向とはまったく違う方向に魔法を発動させることだよ~。例えばこんなふうに。フルバースト」
フィフはテイルの質問に答えながらアーシア達に向けて手を差し出していく。
これを見たテイルがアーシア達に向けて反射的に注意をしたのだが、フィフのフルバーストが炸裂したのはテイルとブラストの方だった。
「!! 皆気を付けて……うおっ⁉」
「あっはっは! だから言ったでしょ? ノールック魔法だって! あっはっはっはっは!!」
凄まじい爆炎に包まれたテイルとブラストを見て、フィフは大爆笑をしていった。
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