《ライト対フィフ、そして……》
ライトとフィフの激突を見つめてその激突の予想をしていたアーシア達だったが、当のライト達はアーシア達の予想とはまったく違う考えをしていた。
(……ちっ、このフィフって女、相当に強いわね……)
(……ふーん、思ってたよりやるじゃん。フレイルの言ってた通り、面白いのがいるのかもね)
互いがこのような感想を持つなか、遂にこの均衡が破れる時が来る。
「なかなかやるじゃん、あんた……え~っと、名前なんだっけ?」
「……ライトだよ……」
「そっかライトか。覚えられたら覚えておくよ」
「……舐めてんのかてめえ……」
「まあそうだね、舐めてるね」
「……こ、の……!」
「だってあんたのパンチ、もう片手で止められるもん」
「……え?」
フィフはライトにそう告げると、本当にライトの拳を片手だけで止め始める。
「……え? あれ? ライトのパンチが……?」
「か、片手で、止められてる……?」
「う、嘘だろ……?」
フィフがライトのパンチの片手で止める光景、これに驚くアーシア達だったが、フィフの行動はアーシア達を更に驚かせていった。
「あはは、これで片手が自由に使えるようになったねぇ?」
「……くっ!」
「さあてそれじゃあ……自由になった手で……」
「……へ?」
フィフは自由に動かせるようになった手をテイルとブラストに向けていく。
そうしてニヤニヤと笑いながら魔法を使っていった。
「それじゃあ回復したばっかりで申し訳ないんだけど、あのドイツ人には死んで貰おっかな?」
「……!! お前まさか⁉」
「あっはっは、吹っ飛べ、ドイツ人! フルバースト!!」
「テイル姉、逃げ……へっ⁉」
フィフがテイルとブラストに向けてフルバーストを発動させると判断したライトが、テイルに声掛けをしようとする。
しかし次の瞬間、テイル達一同には誰ひとり予想できない事態が起こった。
なんとフィフが手を差し出し、完全に目標にしているはずだったテイルとブラストにはフルバーストが炸裂せず、テイルに注意をしようとしたライトがフルバーストの直撃を受けてアーシア達の近くまで吹き飛ばされたのである。
「……え? ライト? ……ちょっと待って、今なにが起きた⁉」
テイルですらなにが起きたのか理解できずパニックになるなか、フィフだけが楽しそうに嗤いながら説明を始めた。
「あっはっは、これが私の得意技、完全ノールック魔法だよ」
「……完全……ノールック魔法……?」
フィフの発言の意味が理解できず、普通に聞き返すだけになってしまったテイル。
その一方でライトが吹き飛んでくる形になったアーシア達は、すぐにライトに駆け寄り、ライトの状態の確認をしていった。
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