《ブラストへの事情聴取》
まともに話せるようになるまで回復したブラストに、テイルはアジトでなにが起きたのかを尋ねていく。
「完治しましたか? ブラスト将軍?」
「あ、はい、テイル陛下」
「それは良かった。それでは早速なんですが、アジトのなかでなにがあったのか、話してもらえませんか?」
「……わかりました。ただ、俺自身もすべてを把握しているわけではないので、わかっている範囲での話になりますが……」
「それで大丈夫です。ですからお願いします」
「わかりました。アジト内に突入した我々はすぐに二組に分かれました。そして分けた組のひとつに先発隊の役目を与え、先行させたのです」
ここまでの話を聞いたテイルが思ったことを話ながらブラストに続きを話すように促した。
「ふむ、その話し方だとブラスト将軍はもう一組の方にいた、ということでしょうか?」
「はい、そうです」
「なるほどなるほど、それでは続きをお願いします」
「はい。先発隊と別れたあと、我々はアジト内にある資料や調度品、備品などを調べていました。そこに先発隊のひとりが酷い全身火傷を負った状態で我々の元に駆け寄ってきたのです」
「……その火傷はフィフの仕業だろうね。それでそのあとは?」
「その兵が我々に早く逃げろと言ってきたのですが、その兵が話し終わる前に炎が押し寄せ、次の瞬間には俺の近くにいた兵達全員が、俺に覆い被さってきて……」
「……あなたの連れていた兵士達は、命と引き換えにする覚悟であなたを守ったんですね?」
「……はい」
テイルの問い掛けに、これ以上はないというほど悔しそうな顔をしながら返答していくブラスト将軍。
そんなブラスト将軍に、テイルは不思議そうな顔を見せながら尋ねていく。
「ですがあの炎では、連れていった兵士達だけでは防ぎきれなかったでしょう? どうやって防いだのですか?」
「私のネオヒューマン能力です」
「ああ、ブラスト将軍もネオヒューマンなんですね。どのような能力者なのでしょうか?」
「……私のネオヒューマン能力は炎を自在に操り身に纏う能力です。これを使って限界まであの炎を防ぎました」
「なるほど、毒をもって毒を制す、というように炎をもって炎を制す、ということでしたか」
「はい。ですがあの炎が予想以上に強力で、防ぎきれずに大火傷を負ったのです」
「そうですか、そういうことがあったのですか。いや、ありがとうございます。おかげでフィフの炎には気を付けなければいけない、という情報が得られました」
収穫があったことを喜び、テイルは良い笑顔をブラストに見せていった。
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