《ジャンに起きた悲劇》
グロ注意回になります…。
自身が自己紹介を行ったのにもかかわらず、嗤うだけの少女にイラついたテイルが少女に話し掛ける。
「いや、お前が自己紹介をしろって言ったからしたんだけど?」
「そうだねぇ」
「だったらお前も自己紹介しろよ」
「え? 嫌よ、これから死ぬ奴を相手に自己紹介なんてめんどくさい」
謎の少女の発言にイライラさせられながら、テイルが更に言葉を続けていく。
「私の仲間には死なない奴がいるんだよ! だからそいつのためにも自己紹介をしろ」
「はぁ? 死なない奴がいる? 冗談を言うなよ」
「それが冗談じゃあないんだな。ほら、ジャン、こっちにきて!」
「あ、おい、ちょっと待て!」
テイルは半ば強引にジャンを引き寄せ、謎の少女にジャンの説明を行った。
「この男が不老不死の奴だよ」
「口だけならなんとでも言えるでしょ?」
そう話してテイルの言葉を信じようとしない謎の少女に、テイルが最終手段に打って出た。
「信じないか。じゃあしょうがないね。ねぇジャン?」
「うん? なんだ?」
「ちょっと攻撃するけど、頑張って耐えてね?」
「は⁉ いや、待て!」
「待て、じゃないわよ! こうしないとあいつが信じないでしょ⁉」
「だからって味方を吹っ飛ばそうとするんじゃねえよ!!」
テイルとジャンが謎の少女を放ったらかしにしてこう言い合っていると、今度は謎の少女が苛ついたらしく、ジャンに向けてフルパワーでフルバーストを使用する。
「……いつまでも私を無視してんじゃないよ」
「え? あっ」
「へ⁉」
声がした直後にテイルは一瞬でアーシア達の元に避難した。
するとこの直後、ジャンを中心とした大爆発が起こり、爆発跡には大きなクレーターと上半身が吹き飛んだ状態のジャンの姿があった。
「やれやれ、私が吹っ飛ばそうと思っていたのに……」
「……面白いわね、あんた……全然躊躇しないで仲間を吹っ飛ばそうとするなんて……」
「生き返るってわかっているからね。それにこうしないとお前が信じてくれないからね」
「なるほどね。で、結局そいつはいつ生き返るの?」
「多分もうすぐ生き返るでしょ」
テイルがこのように謎の少女に話した直後、下半身だけの状態になっていたジャンの上半身が再生を始めていき、数秒後には完全に元の状態に治っていったのである。
「ほら、生き返ったでしょ?」
「おお~、本当だった」
完治したジャンを見たテイルと謎の少女が呑気なやり取りをするなか、突然上半身を吹き飛ばされたジャンがテイルに叫び散らかしてきた。
「おい、テイルてめえ! ひとりだけ逃げるんじゃねえよ! 一回死んだじゃねえか!」
「だってジャンは生き返れるけど私は生き返れないもの。だから文句は私じゃなくてこの謎の女に言ってよね?」
ジャンの苦情をあっさりと受け流したテイルが謎の少女を指差しながらジャンのヘイトを謎の少女に向けようとする。
するとこの空気を感じ取った謎の少女が渋々といった様子で、物凄く簡単な自己紹介を行った。
「やれやれ、しょうがないね。わかった、自己紹介するよ。私はフィフ。多分今日で生き別れになる奴らが大半になると思うけど、よろしくね」
フィフはこう言うと軽く頭を下げてきた。
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