《ファーストコンタクト》
ブラスト達がアジトに突入して数分間、テイル達は捕虜達を見張りながら雑談をしていたのだが、ある時テイルとライト、更にリューネルンの三人がピタッと雑談を止め、ほぼ同時にアジトの入り口へ目を向ける。
「……うん? どうしたの、テイル?」
「ライトも。一体どうしたんだ?」
「マスターリューネルン、アジトになにかあるのですか?」
テイル達の様子を不審に思ったアーシア達が次々に声を掛けていく。
しかしテイル達は、結果的にこの呼び掛けを無視する形でアジトに目を向け続け、三人で話し合いを始めていった。
「……テイルや、ライトや、そなた達は感じるかの?」
「……ええ、感じるわね……」
「……うん。とても嫌な魔力を感じる……」
「……そうなると、早くブラスト将軍の元に駆け付けた方が良いのぅ?」
「ええ。行くわよ、ライト、リュー!」
「オッケー!」
「わかった……それからその方ら、いつまでそうしている気じゃ?」
「え?」
「そうそう。急いでアジトに突入するわよ!」
「え? え?」
勝手に話を進めていたテイル達三人からいきなり急げと言われ、焦ったアーシア達四人を置き去りにする形でテイル達がアジトに強行突入を始めていく。
そうしてアジトの入り口まであと僅かとなったところで、先頭を走っていたテイルが急停止する。
「うおっ⁉ どうしたのよ、テイル姉……あ……」
「テ、テイルや、これは……」
「ええ! 皆伏せて!!」
「は⁉ へ⁉」
突然叫んだテイルに驚きながらも、なんとか指示通りにその場へ伏せたアーシア達。
そしてアーシア達よりも早くアジトの入り口から離れたテイル達の目の前を、アジトのなかから凄まじい爆炎が通りすぎていった。
「な、なんだ今のは⁉」
テイルの指示でどうにかこの爆炎を避けられたジャンが叫ぶ。
更にアーシアもなにかを叫ぼうとしたところで、テイルがライトとリューネルンの腕を掴んでアジトの入り口から飛び退いた。
「テ、テイル……?」
「……皆下がって。出てくるわよ……!」
「……う……」
テイルの新たな指示で少しずつアジトから離れていくリューネルンとライト、更にアーシア達。
こうしてライト達をアジトから遠ざけたテイルは、自身もアジトから離れながらゆっくりと魔法発動の用意を始める。
そのままテイルがアジトの入り口を凝視するなか、アジトからひとりの少女が姿を現した。
「……おまえは……誰?」
現れた少女に問い掛けるテイル。
これに少女が嗤いながら答えていく。
「人間界では、相手に名前を尋ねる時はまず自分から名乗るものだって聞いたけど?」
「……私はテイル・フェリアシティ。あなたは?」
「ふふ、知ってる」
テイルの名乗りに、少女は嗤いながら話してきた。
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