《会談の終わりと、合流に向けて》
静かになにかを考えている、ヴィクトル国王の様子を見たテイルはそう判断してジャンに声を掛けていった。
「ねぇジャン、第一次大戦と第二次大戦の発端にドイツが関係しているのはわかったんだけど、その時にアメリカはなにをしていたの?」
「アメリカか? 第一次大戦の時は友好国に兵器を送るだけでしばらくは参戦しなかったな」
「しばらく、ということは遅れて参戦したの?」
「ああ。結局アメリカはドイツやその同盟国との大戦に勝利、この頃からアメリカが地球のリーダーのような立場になっていったな」
ジャンはこう話すとチラッとヴィクトル国王に目を向ける。
そのヴィクトル国王はすでに目を開いて、ジャンの話を静かに聞いている状態だった。
そんなヴィクトル国王にテイルが話し掛けていく。
「ヴィクトル陛下、先ほどのお話でドイツの考え方はよくわかりました」
「……そうですか。それなら良いのですが……」
「ふふ、本当に大丈夫ですよ。なにせその考え方なら末長くドイツと友好国でいられると私に確信させたのですから」
「……ありがとうございます」
テイルの発言にヴィクトル国王は深く頭を下げて感謝の意を伝え、頭を上げたところでテイルに手を差し出して握手を求めてくる。
これにテイルも笑顔で応じ、両者が互いに笑顔で握手を行うところをジャンやアーシア達が穏やかな表情で見守った。
こうしてフェリアシティ王国とドイツ王国との友好関係が成立したところで、テイルがヴィクトル国王にそれではと話し掛ける。
「ヴィクトル陛下、早速ですが我がフェリアシティ王国はドイツ王国との約定を果たそうと思っています」
「……む? そう言われるということは、本日行う予定の反政府武装勢力の掃討作戦に協力していただける、ということでしょうか?」
「はい。ただ参加そのものはドイツに来る前から決めていましたけれどね」
「そうだったのですか。それなら先ほどの言葉はどういう意味なのでしょうか?」
「より気合いを入れて掃討作戦に参加させてもらう、そういう決意表明ですよ、ヴィクトル陛下」
テイルはヴィクトル国王にそう話すと、軽く会釈してこの会談を終わらせていった。
これにヴィクトル国王も会釈で返してくるのを見届けたテイルは、ジャンやアーシア達にドイツ軍との合流地点に向かうことを伝え、城をあとにするとドイツ軍との合流地点に向けて飛び立っていく。
「合流地点はどこだっけ?」
「南部の山岳地帯だな」
「えらくフワッとしておるのう? それで本当に合流できるのかえ?」
「心配ない。NATO所属国はそれぞれに暗号通信の技術共有をしているからな。山岳地帯に入ったぐらいにドイツ軍の方から連絡がくるはずだ」
不安そうに尋ねてきたリューネルンにジャンがそう答えて安心させていった。
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