《テイル、ドイツの歴史を勉強する》
テイルの言葉を聞いたヴィクトル国王は静かに微笑みながらテイルに答えていく。
「それについては問題ありません。ドイツはいつでも正しい選択をする国であり続けなければならないと、常日頃から話し続けていますから」
「……ほう? そのような言い方をされるということは過去になにかあったのですか?」
「ええ。と、言っても数百年前の話になりますが……」
「そうですか……差し支えなければ、ご教授いただいてもよろしいでしょうか?」
「……ええ、構いません。よろしいですよね、ジャン殿下?」
テイルとの会談だからと思って完全に油断をしていたジャンいきなり話し掛けたヴィクトル国王。
これに驚いたジャンが変な叫び声をあげて一瞬固まり、事態を把握したところで再起動しながらヴィクトル国王の問い掛けに返答をしていった。
「……ファッ⁉ ……あ、いや、失礼しました。ドイツの過去を話す、ということですね? ヴィクトル陛下?」
「そうです。よろしいですね?」
「ふぅむ……それはつまり地球の歴史の一部をテイルに話す、ということですね?」
「はい、その通りです」
「わかりました。それでは俺もテイルに補足説明ができるように頑張ります」
「お願いいたします。それでは……」
ヴィクトル国王はこう言って一呼吸おくとドイツの、そして地球の歴史の一部をテイルに話し始める。
「最初にどこから話せば良いかと考えましたが、やはり世界大戦の始まりから話そうと思います」
「世界大戦? 今の戦争のですか?」
「いえ、違います。今行われているのは第三次世界大戦であり、今から話そうと思っているのは第一次大戦と第二次大戦のことになります」
「第一次世界大戦と第二次世界大戦? それにドイツが関わっていたのですか?」
テイルのこの質問にヴィクトル国王は首を横に振りながら話していく。
「関わりがあるどころの話ではありません。なにせその二回の世界大戦を始めたのは、ドイツなのですから」
「え⁉ そうだったんですか⁉」
「はい。ただ第一次大戦の時は同盟国の要請を受け、その支援を決めたあとで参戦したので厳密に言えば開戦したとは言えませんが、開戦国に開戦の後押しをしたのは確実です」
「第一次大戦をそう言われるということは第二次大戦は本当にドイツが開戦国になったと……」
「そうです。その結果、地球全土で数千万人の死者を出してしまったのです」
「……死者数、数千万人……その引き金を引いたのが、ドイツ……」
「第一次大戦の死者も合わせれば死者数一億を越えるでしょう。これが、我々ドイツがいつでも正しい選択をしなければいけないと話し続けている理由になります」
こう言ってヴィクトル国王は目を閉じた。
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