《国防大臣との会談》
城のなかに案内されたテイル達は一切待たされることなく謁見の間に案内され、国防大臣との会談を行うことになった。
「いや、ご無沙汰しておりますな、ジャン殿下」
「そうですね、特に俺がフェリアシティ王国に出向してからは他国との外交をまったく行わなくなりましたからね」
「それが今回は突然やってこられた、陛下からなにか頼まれましたかな?」
この国防大臣の問い掛けにジャンは苦笑いで答えていく。
「確かに陛下の頼みではあるのですが、陛下は陛下でも頼んできた陛下は俺の父ではないのですよ」
「……うん? そう言われますと……殿下に頼んできた陛下というのは……?」
「その陛下は俺の背後にいるこの方です。どうぞ、テイル陛下」
ジャンの言葉と、アーシアとフェイトに押し出される形で前に出てきたテイルがドイツ国防大臣に挨拶を行う。
「お初にお目に掛かります。私はフェリアシティ王国女王、テイル・フェリアシティと申すものです。以後、お見知り置きの方をよろしくお願いいたします、国防大臣殿」
「……えっ⁉ なっ⁉ テ、テイル・フェリアシティ女王陛下⁉」
「はい。先ほども言いましたが、よろしくお願いいたします、大臣殿」
この自己紹介を受けた大臣はすぐにドイツ陸軍少将、ブラスト・シュツットバルド将軍との通信回線を開くように兵士へ伝える。
この命令を受けた兵士は慌てて謁見の間から出ていき、通信回線を開くために必要な機材を謁見の間に運び入れるとすぐにブラスト将軍との通信回線を開いていく。
数分後、作戦開始前の忙しい時間に無理矢理呼び出されて非常に機嫌が悪そうなブラスト将軍の姿が画面上に現れた。
「一体なんの用ですか? 国防大臣殿?」
「いや、すまん将軍! 取り急ぎ将軍に確認してほしい事案が発生したものでな、大変に忙しいのは重々承知の上で通信回線を開いたのだ!」
「……はぁ、わかりました。それでそれで俺が確認しないといけない事案とはなんです?」
「それは説明するよりも実際に対面してもらう方が早いだろう。陛下、お願いいたします」
大臣はそう言ってテイルを通信機器の前に立ってほしいと頼んでいき、これを受けたテイルが通信機器の前に姿を現す。
そうしてテイルが画面の向こうにいるブラスト将軍に挨拶をしていく。
「ご無沙汰をしています、ブラスト将軍。私はテイル・フェリアシティです」
「……は⁉ テイル女王陛下⁉ なぜドイツに⁉」
「色々あって地球各地を巡ることにしたんです。その最初がドイツになった、それだけの話ですよ」
驚愕するブラスト将軍にテイルはこう答えてカラカラと笑っていった。
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