《テイル一行、ドイツへ》
開き直ったテイルはさらに言葉を続けていく。
「私ぐらいになると、一日一回はこのやり取りを見ないと今日は静かだなって思うようになるからね。ライトもどう?」
「……遠慮しておく。毎日毎日喧嘩の仲裁とか私の性に合わない」
「そう? まあライトがそう言うなら無理強いはしないけど」
「うん、そうして、テイル姉」
ライトの最終的な返答を聞いたテイルがライトに対して黙って頷くと、テイルは続けて一同にそろそろドイツに向けて出発しようと話し掛ける。
「よし、それじゃあそろそろ出発しようか?」
「そうだな、あんまり遅くなるのも問題だからな」
「遅れすぎると掃討作戦に間に合わないかもしれないからね」
「そういうこと。わかったわね、リュー、アーシア?」
いまだにいがみ合っているアーシアとリューネルンに声を掛けるテイル。
これにアーシアとリューネルンの双方ともが互いを睨みながらテイルの言葉を受け入れていく。
「はあはあ、仕方ないわね、テイルがうるさいから今日はここまでにしておいてやるわ」
「ふうふう、偉そうな口をきくでないわ、この無能が……と、言いたいところじゃがこれ以上テイルを怒らせるわけにもいかんからな。止めておいてやろうではないか」
「やれやれ、これで無事終了だね。それじゃあドイツに行こう。皆準備は大丈夫ね?」
テイルの問い掛けに全員が即座に頷いたことで、テイルがドイツに向けて飛び立っていった。
これに続いてアーシア達も飛び立っていき、この様子を物陰からずっと見ていた事務総長が安堵の息を吐きながら呟いた。
「ふう、ようやく行ってくれたか……危うくNATO本部で精霊界の大物と魔界の大物が一騎討ちを始めるところだったよ……」
事務総長がこの呟きをした直後、テイルとアーシア、それにリューネルンの三人がほぼ同時にくしゃみをしたためにテイルは事務総長辺りが私達の噂話をしているな、という鋭い指摘をしてみせる。
そんなことをしながら十数分でドイツに到着したテイル達はすぐに首都、ベルリンに向かっていった。
その途中でテイルはジャンにベルリンのどこを最終目的地にすれば良いかを尋ねていく。
「さてジャン、私達はベルリンのどこに行けば良い?」
「どこに行けば……そうだな……まあとりあえず国王陛下に挨拶か?」
「国王陛下に挨拶ってことは城に行けば良いの?」
「ああ。ベルリンのど真ん中にあるどでかい城だからすぐにわかるぞ」
「そっか、それは助かる。それじゃあ城に行くわよ!」
テイルはこのように宣言すると飛行速度を上げていった。
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