《いつもの小競り合い》
事務総長から言質を取ったテイルはライトを連れてアーシア達のあとを追っていき、合流を完了させたところでドイツに向かう足を早めていった。
「あ、追いついた」
「お、テイルにライト。待ってたよ、なにをしていたの?」
「うん、ライトと二人でちょっと事務総長に圧を掛けていろいろと約束させていたの」
「……またなにかえげつないことを約束させてきたっぽいわね……」
「またってなによ? そんなにまたって言われるほどやらかしてるつもりはないわよ?」
「はいはい、ごめんなさい、そうだったわね」
「……なんの感情も込められていないのが丸わかりだよ、アーシア……」
アーシアの言動にこう言ってツッコミを入れたテイルに、リューネルンが声を掛けてくる。
「テイルや、少し良いかの?」
「うん? リュー? 良いけどどうしたの?」
「そやつのような無能と話して貴重な時間を浪費するよりも、今は一刻も早くドイツに向かうべきではないかの?」
「ああ、まあ……確かにそうだね、確かに、そうはそうなんだけど……」
「む? どうしたのだ、テイルや?」
「もうちょっとアーシアのことをマイルドに発言してくれないかな? 今のままだと同意しにくいのよねぇ……」
テイルがテオとフェイトの二人掛かりで抑え込んでいるアーシアを見ながらリューネルンに苦言を呈していった。
これにテイルと同じように抑えられているアーシアを見ながらリューネルンが答える。
「それは無理な相談じゃ、テイルや」
「なんでよ?」
「なぜならわらわはあの無能に対してはすでにオブラートに包んだマイルドな言葉遣いをしているのじゃからな! これ以上は無理というやつじゃ!」
こう話すとリューネルンは高笑いをしていく。
そんなリューネルンを見て肩を落としたテイルがアーシアに近寄り、ぼそぼそと小声で囁いていった。
「ごめんねぇ、アーシア……」
「……テイル、謝らなくていいから、テオとフェイトに離すように言って……あのクソ魔族を張り倒すから……!」
「だから待って頂戴って。近い将来、リューのご両親にチクってがっつり叱ってもらうから」
「……それは確定の約束?」
「確定の約束」
「……わかった、それで手を打つ」
テイルと約束を交わしてようやく落ち着いたアーシアを見て、ついでにこれまでのやり取りのすべてを見ての感想をライトが話し、これにテイルが答えていく。
「……いつも通り賑やかだねぇ……疲れない?」
「それなりにね。でも慣れたらなんとも思わなくなるよ?」
この一言にライトが苦笑いを浮かべる。
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