《NATO本部への情報提供》
目的地が決まったあとはなにごともなく平穏無事な飛行が続き、テイル達はそのままベルギー、ブリュッセルに降り立った。
「この間ぶりだね、ブリュッセルも」
「そうだねぇ」
「ああ、そうだな」
テイルの呟いた一言にアーシアとジャンが同意するなか、リューネルンがとても嫌そうな顔をしながら言葉を発する。
「……そういえばテイル達はこの間ぶりだったのじゃの。羨ましい話じゃ」
「うん、リュー? どうしたの、そんな表情で?」
「わらわはこの間ぶりどころか昨日ぶりじゃからのう。感慨もなにもあったものではないわ」
「ああ、そういうことか。それならリューは一人で待っていても良いよ?」
リューネルンの言葉を聞いたテイルが優しさからリューネルンにそう声を掛けたのだが、当のリューネルンは一人、もしくはテオと二人で残される図を想像して、自分も一緒に連れていけとテイルに食って掛かった。
「おい、テイルや。わらわをひとりで待たせるとか、それは正気なのかや?」
「正気だけど……駄目なの?」
「こんなところにひとりで取り残されるなど真っ平ごめんじゃ」
「ふむぅ、それなら……」
「言っておくが、テオと二人だけで残されるのにもわらわは反対じゃからな?」
このリューネルンによる一連の訴えを聞いたテイルが、リューネルンの発言を良く考えた上で結論を話す。
「あー、だったら一緒に来てもらうしかないねぇ」
「ああ、わらわはそれで良い。というよりわらわは別にここに来るのが嫌なわけではないからな?」
「だったらその嫌そうな顔を止めてよ」
「すまんの、こうなるのならここで一泊していけばよかったと思っただけじゃからな。じゃから気にせんでくれ」
「やれやれまったく……それじゃあ報告に行くよ?」
「はーい」
リューネルンの言葉を聞いたテイルが溜め息を吐きながらNATO本部ビルに入ろうとメンバー全員に声を掛け、それにメンバー全員も返事をしてNATO本部ビルに入っていった。
「ようこそNATO本部に。今日はどのようなご用件でしょうか?」
ビルに入るとすぐに警備員がテイル達に来訪の目的を尋ねてくる。
これにテイル達は穏やかに答えていく。
「事務総長はいらっしゃいますか? 共産軍に動きがあったと報告をしに来たのですが?」
「共産軍に……動き?」
「はい。その報告にやってきました」
テイルの話を聞いた警備員達がどうすれば良いかを話し合い、結果として警備員のひとりが事務総長に報告に行くことになった。
そうして待つこと約三十分、事務総長が話を聞く、という情報を持って警備員が帰ってきた。
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