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多元世界戦記 ~テイル奇譚~   作者: 篠原2
第二章 冒険と新たな仲間達

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《目的地決定》

順調に飛行速度を上げていくテイルにライトが声を掛けていく。


「それでテイル姉、ヨーロッパのどこに行くの?」


「……あ~、それか……実は目的地を決めないままヨーロッパに行ってるんだよねぇ……」


「……え? そうなの?」


「うん。ねぇ皆?」


ライトの質問にこう答えたテイルがアーシア達に尋ねる。

するとアーシア達は全員が答えにくそうにしながら話していった。


「……うん、そうだね……」


「前回のロシア偵察もこんな感じだった気がするがな」


「わらわは前回同行していなかったから前回のはわからぬが、テイルは大体目的地を決めずに出発する傾向があるからのう……」


「私はマスターリューネルンの発言を肯定します、ライト」


「……良く言えば柔軟に、臨機応変に目的地を決められる、そういうことで許してあげてはいかがでしょうか?」


こうして全員の返答を聞いたライトは無言でテイルに目線を向け、向けられたテイルはライトと同じように無言でどこか遠くを見つめながら言葉を紡ぐ。


「……ほら、みんなも大丈夫だって言ってるでしょ? だから大丈夫だよ、ライト」


「いや、どこが? 皆困ってるから大丈夫じゃないじゃん?」


「そこはほら、行き先は皆に相談して決めてもらうってことで万事オッケー?」


「オッケーじゃないでしょうよ」


「……うん、ライトもオッケーみたいだから、目的地は皆で相談して決めてね?」


「いやいや……」


最終的に行き先の決定をアーシア達に丸投げしたテイルの所業にドン引きしたライトだったが、テイルは一切気にしないでライトに話し掛ける。


「それよりもライトはどこに行くつもりでついてきたの? しっかりとした目的地は決めていないにしても、ざっくりとした感じでは考えてるんでしょ?」


「……な~んも考えずについてきました。偉いでしょ?」


「偉くないわよ。せめてざっくりとでも考えてるって言えばおお、偉いなって言ったけど……」


「むぅ、それだけか。できればもうちょい誉めてほしいんだけど……」


「もうちょい誉めてほしいんならせめて行き先は考えろ」


「……次からはそうできるように努力します」


「努力するって、言葉だけじゃないの? 実際の行動に反映できるの?」


「……努力します」


「……」


テイルがライトの返答に閉口したタイミングでアーシア達の相談も終わり、その結果をジャンが話してきた。


「目的地が決まったぞ。話しても良いか?」


「うん、大丈夫。それでどこになったの?」


「ベルギーに決まった」


「ほう、理由は?」


「ロシア軍に正体不明の助っ人がやってきた、という情報をNATO本部に提供した方が良いんじゃないか、そういう結論になった」


「なるほどねぇ、わかったよ。それじゃあベルギーに行こう」


テイルはこう結論付けてヨーロッパ、ベルギーに進路を向けた。

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