《リューネルンの解説》
テイル達全員がリューネルンの話した言葉を繰り返したあと、テイルが一同を代表してリューネルンに身代わり人形とはなにかを尋ねる。
「身代わり人形……か。それでその身代わり人形って一体なんなの?」
「身代わり人形は……そうじゃのう、なんというのか……まあとりあえず魔界の最上級クラスの連中が、自身が戦に負けたり暗殺者に襲われたりした時に自身が無事に逃げられるように作り出した、囮のようなものじゃな」
「……逃亡用の……囮? いや、それにしては戦闘能力が高過ぎたんだけど? というかあれだけ強かったら敗戦時の逃亡はわからないけど、暗殺者程度なら軽く撃退できそうな気がするんだけど?」
リューネルンの話を説明を聞いたテイルがそこで浮かんだ疑問をリューネルンにぶつけた。
この疑問をリューネルンは想定通りと言わんばかりにすらすらと答えていく。
「それには身代わり人形の特性が関係してきてな、身代わり人形は魔力を込めた相手、つまり身代わり人形を使って逃げる者じゃな、そやつの最大魔力の十分の一までの魔力を保持するように作られておるのじゃよ」
「……つまり魔力を込めた奴が強ければ強いほど身代わり人形も強くなるってこと?」
「そうじゃ。ということはじゃ、今回身代わり人形をぶつけてきた奴は相当な実力者ということになる」
「……十分の一の時点であれだったから、当然といえば当然か……」
リューネルンの解説を聞いて漏らしたテイルの一言に、この場にいるメンバーの間に動揺が広がる。
その様子を見たテイルは次の質問を、身代わり人形の戦闘能力以外のことにしていった。
「それじゃあリュー、次の質問をさせてもらう」
「うむ、良いぞ良いぞ。答えられる範囲でどんな質問にも答えてやろうぞ、テイルや」
「上機嫌だね、リュー。まあそれは置いておいて、ようは上流階級が逃亡するような事態に陥った時に主人の身代わりになる人形なんでしょ? それがなんで私に襲い掛かってくるわけ?」
「うむ、その点か。身代わり人形にはいくつか行動パターンを設定することができてな、そのなかに特定の相手を追尾し撃破するようにできるパターンがあるのじゃ」
「今回はその機能を使ってきたってわけか。でもなんで特定の相手を追いかけて戦うような行動パターンを設定できるの? 逃亡用なんでしょ?」
「暗殺者に襲われた時に、その暗殺者を撃退するためじゃな。文字通りどこまでも追いかけ、その相手を撃破するようにできるのじゃよ」
「……やれやれ、よく考えて作られているね」
テイルは軽い溜め息を吐きながら身代わり人形を誉めていった。
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