《正体判明》
「人間ではないというよりも生物ではないと判断した方が良さそうだな」
「それはさっきから私が言ってたじゃない!」
身震いしたエスト達に続いてそう発言したジェーンに、テイルが噛み付いた。
そんなテイルをジャンが宥めていく。
「まあまあテイル、そうやって叫んでばかりいるといつまでたっても説明ができないから」
「むぅ……」
「だからもう少し落ち着いて、な? 頼むよ?」
「……仕方ないわねぇ……皆ジャンに感謝しなさいよ?」
「はいはい……」
「おいそこ!!」
「だからテイル……」
「……ちっ、わかったわよ」
不機嫌になるテイルをなんとか宥めたジャンが謎の敵についての話を再開させる。
「それじゃあ話を戻すが……これが一応襲撃してきた敵の情報になるかな」
「……ふぅむ、生物とは思えない敵か……そうなるとどう判断すれば良い?」
「手っ取り早いのは……襲われた場所も踏まえての考えになるんだが、ロシアか中華の新兵器というのが一番簡単な予想になるか?」
「ロシアか中華か……そうなると結構な戦力強化になるな……」
「でもそうなるとどうにかして捕獲して詳しい調査とかをしたかったね」
「……それはまた私が悪いって話にならない?」
話の流れを読んで先手を打ったテイルに、これ以上話の腰を折られるわけにはいかないとジャン達が決死のフォローを行っていく。
「いや、あの状況ではあれが最適解だろう」
「そうそう。下手に手を抜くと被害が大きくなっていただろうしね」
「それにテイルも手を抜く余裕はなかったでしょう?」
「……まあ、それは、そう」
「でしょう? だから気にしなくても良いわよ、テイル」
「……そっか、ありがとうね、皆」
「ああ」
「うん」
「ええ」
テイルの反応にそれぞれが一言で答えながらほっと一息ついていると、少し前からぶつぶつと独り言を呟いていたリューネルンが声をあげた。
「……生物とは思えぬ動き……魔力も気配も反応しない……そしてテイルに手を抜くことを許さぬ戦闘能力……もしや……」
「……うん? マスターリューネルン、どうされましたか?」
「……テイルや、わらわはその敵について心当たりがあるやもしれぬ」
「なんですって? 本当なの、リュー?」
「まだ予想の域を出てはおらんがな」
「……そうか……」
「そこで確認なのじゃが、誰ぞテイルとその謎の敵との戦闘を映像に残してはおらぬか? 映像を見て正体をはっきりさせたいのじゃ」
「それなら俺が持っているから、すぐに見せるよ」
リューネルンの言葉に答えてジャンがテイルと謎の敵こと身代わり人形の戦いを3Dホログラムの映像で映し出した。
するとその映像を見たリューネルンが深く頷きながら声をあげる。
「……ああ、やはりそうじゃったか。やはりわらわの考えは当たっておったわ」
「知ってるのね、リュー。それでこいつはなんなの?」
「こやつは……身代わり人形じゃ」
「……身代わり……人形?」
テイル達は聞き慣れない身代わり人形という言葉に表情を歪めていった。
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