《エスト達への報告》
マヤについて部屋に入ったテイル達にエスト達が声を掛けてくる。
「おう、お帰り、テイル。ずいぶんとお早い帰宅になったな?」
「おかげさまでね。ちょっと厄介な相手に絡まれて予定よりも早く帰ってくることになっちゃったんだよね」
「……はぁ、厄介な相手か、それは良かったな」
「良くないわよ、予定していた敵国の偵察が全然できなかったんだから」
「……ふーん……」
テイルを話をまったく信じていない感じで聞いていくエスト達に対して、テイルはアーシア達にも話してもらうように頼んでいった。
「ちょっと、信じてよ!」
「……まあ普段の行いのせいだろうな」
「むぅ~、もういい! アーシア、ジャン、テオ、フェイト!!」
「え、なに?」
「私が話しても信用してくれないから皆が話して!」
「ええ……」
「なによ! 駄目なの!?」
「……わかったわかった。話すから落ち着いてよ、テイル」
「よし、早く話して」
「はいはい……」
こうしてテイルに強制される形でアーシア達がエスト達に説明していく。
「それじゃテイルに代わって私達が話していくわね?」
「……まあ、よろしく頼むよ」
「ええ。それじゃあ、なにから話していこうかな?」
「では最初にテイルが絡まれたとかいう厄介な相手について聞かせてもらおうか?」
「了解。とりあえずその相手なんだけど、魔力反応も気配もまったく感じなかったんだよね」
「魔力と気配が……ない? そんな生命体がこの世にいるのか……?」
「もしくはこの無能が嘘を吐いているかのどちらかじゃな」
「なんで嘘を吐かないといけないんだ、この腐れ魔族!」
「なんじゃと!? やるかこの無能エルフ!」
「……二人ともやめろ。今はケンカをしている場合じゃないだろう?」
「……はーい」
「……ちっ、仕方がないのう……」
ジェーンの仲裁でなんとかケンカ寸前で止まったアーシアとリューネルン。
ここでエストがアーシア達に忠告をしていく。
「これからはアーシアが説明しない方が良いな、リューネルンが突っ掛かっていく」
「じゃあ誰が説明すれば良いのよ?」
「リューネルンはフェイトが説明しても反発するだろうし……テオかジャンか?」
「ならジャン、説明お願い」
「わかった。それじゃ始めるが、アーシアが話した通りその相手には魔力も気配も感じなかった。これは確かだ。それとテイルがその相手をぶっ飛ばして、その相手が立ち上がってくる時、絶対に人間ではないという立ち上がり方をしたな」
「絶対に人間ではない起き上がり方? 具体的にそれはどんな起き上がり方だったんだ?」
「手を使わずに脚力と背筋力だけで起き上がってきた」
「それは……確かに人間ではなさそうだな……」
ジャンの説明にエスト達は軽く身震いした。
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