《テイル対身代わり人形 その五》
テイルと身代わり人形の拳がぶつかり合ったその瞬間、まるで大型トラック同士が全速力で正面衝突した時のような凄まじい激突音が周辺一帯に響き渡った。
「……うげ、なに今の音……?」
「マスターテイルとあいつの拳の衝突音だと思います」
「多分だけど、マシンアーマノイド同士がぶつかった時でもあれほどの音はしないと思うぞ……」
「拳同士がぶつかった音だと説明するより、なにかの爆発音だったと説明した方が信じる人が多そうですね……」
テイルと身代わり人形の一撃をこのように評しているアーシア達を尻目に、テイルと身代わり人形の戦闘が本格的に始まる。
「……」
「さっきのぶつかり合いでもノーダメージか、なるほど、ねっ!」
「……」
「……今も良いパンチが三発入ったのに、特に反応しないし……ということは格闘戦だと倒すまでに時間が掛かりそうだな……」
身代わり人形の攻撃はすべて避け、自身の攻撃はそのすべてを当てていくテイルはそのように話して身代わり人形との戦いの厄介な点をあげた。
そして先ほどのパンチ三発で身代わり人形を吹き飛ばしたことを確認したテイルは、マジックバッグから刀を二本取り出して装備する。
そうして刀の切っ先を身代わり人形に向けていった。
「……再生能力があるかどうかはわからないけど、とりあえずバラバラにしてみるか」
「……」
「行くわよっ!!」
「……!」
身代わり人形をバラバラに斬り刻むことに決めたテイルが刀を構えた状態で身代わり人形に向けて突撃していき、一方の身代わり人形もテイルに突撃を始め、互いの攻撃が届くところまで近付いた。
そこで先に攻撃を仕掛けたのは身代わり人形だったのだが、テイルは身代わり人形の攻撃を紙一重で避けるとそのまま二本の刀で身代わり人形をバラバラに斬り刻んでいく。
こうしてバラバラになった身代わり人形を眺めながらテイルが呟いた。
「さて、これで再生するかどうかなんだけど、どうなるかな……?」
このようにテイルが身代わり人形の様子を観察しているのと同じように、テイルと身代わり人形の激突をモニターで見学しているヴォロシンスキー達が身代わり人形をテイルに突撃させた張本人であるフィフに尋ねる。
「……フィフ殿、身代わり人形がバラバラにされましたが?」
「うん、そうだねぇ」
「……ということはこれで戦闘終了か?」
「うんにゃ、身代わり人形には再生魔法が掛けられてるからもうすぐ修復して戦いを再開させるよ」
フィフの説明を聞いたヴォロシンスキー達は顔を見合わせると軽く溜め息を吐いていった。
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