《テイル対身代わり人形 その四》
適当な戦闘場所を探してロシアの空を飛ぶテイルは、戦闘場所としてちょうど良さそうな平地の上空に辿り着いた。
「どこかにないものか、都合の良い戦闘場所が……あ、あそこ良さそう」
その平地を見たテイルはすぐにこう呟くと、地上の状況を詳しく調べるために着陸していく。
「……ふむ、この感じなら派手に暴れても大丈夫そうだね」
地上に降りて戦闘場所の候補地を軽く調べたテイルは、そう話してこの平地に合格点を与えると、身代わり人形やアーシア達がやってくるまでの時間で身代わり人形の正体について考え始めた。
「それにしてもあいつはなんだ? 生物じゃないのは確定っぽいけど、そうだとしたらあの戦闘能力は……以前に見た大昔のSF映画に出ていたサイボーグよりも強いだろうし……」
こうしてテイルが身代わり人形のことについて考えを巡らせている頃、テイルと身代わり人形を追って飛び立ったアーシア達が猛烈な勢いで走っていく身代わり人形の様子を監視しながら、テイルと同じように身代わり人形の正体について議論していた。
「テイルはどこまで飛んだのか、わかるか?」
「……魔力反応からすると、今の私達の速度でもう数分先みたいだね」
「そうか。それであいつはどうなった?」
「……マスターテイルを追いかけて凄まじい速度で走り続けています。速度はまったく落ちていません」
「それどころか障害物を完全に無視しているわよ? 建造物に岩や大木、湖も無視してまっすぐにテイルのところに走って行ってるみたい」
「……なんというか、触れるものすべてを破壊しながら突撃していってるな……」
「テイルが話していたみたいに、本当に生物じゃないんだろうね」
「そうでなければあの全力前進は説明できないからな」
「生物だとどうしてもぶつかる瞬間に恐怖を感じます。その当たり前の反応があの相手には見られません」
「人間サイズの戦闘用ロボットか……多分ロシア軍なんだろうが、厄介なものを送り込んできたもんだ」
「本当にねぇ……お、テイルがいた」
「なるほど、あそこを戦闘場所に選んだか」
「周囲になにもない荒野、あの相手と戦うにはぴったりの場所です」
テイルが選んだ戦闘場所を見たアーシア達がそう話して感心していると、同じようにテイルの存在を確認した身代わり人形が更に走る速度を上昇させてテイルに突撃していく。
これにテイルも準備万端といった表情で迎え撃つ。
「きたか、それじゃあ第二ラウンド、開始といきましょうか!!」
全速力で突撃しながら拳を繰り出してきた身代わり人形に、テイルも渾身の右ストレートで応じていった。
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