《テイル対身代わり人形 その一》
身代わり人形はテイルの関節技から逃れるためにテイルの足を中心に攻撃を行おうとしたが、位置が悪く効果的な攻撃を行うことができなかった。
「……」
「ははっ、位置が悪いね。そこからじゃあ足以外には攻撃できないし、足を攻撃されたぐらいじゃあ離さないよ?」
「……」
そのために身代わり人形は次の行動を開始する。
それは自身に関節技を仕掛けてきているテイルを、関節技を仕掛けている状態のまま持ち上げて激しく地面に叩き付けていく、という物であった。
「……へ? えっ!? こ、こいつ、この状態のまま、私を持ち上げた!?」
「……えっ!? 嘘だろおい!?」
「ちょっ、テイル!? 大丈夫!?」
「おい待てお前!! なにする気だ!?」
「……」
「ちょっ、待て!? このまま叩き付けるのはさすがにまず……!!」
身代わり人形はテイルの言葉を完全に無視する形で、テイルをもう一度、さっきよりも激しく地面に叩き付けていった。
「……」
「……うわ、道路にクレーターができちゃった……」
「いや、クレーターというよりはもはや道路が大規模に陥没していると言った方が良いような気がするんだけど……」
「そんな呑気なことを話している場合か!? あれではテイルは……!」
身代わり人形の攻撃で激しく陥没した道路を見た感想を話していくアーシア達に、ジャンが焦りながら叫んでいく。
しかしアーシア達はまったく焦ることなくジャンに説明していった。
「テイルなら大丈夫だよ。あれでも多分かすり傷ひとつ負っていないと思うよ」
「私もそう思います。それよりも陥没した道路のまましばらく生活しなければいけないこの町の住民の方を心配します」
「怪我人も大勢出ていそうですし、今はそちらの方を優先したいと考えています」
「……お前達は……まったく……」
アーシア達の発言にジャンが呆れていると、身代わり人形とテイルが次の動きをし始める。
「……うへ、道路が滅茶苦茶になっちゃった……大丈夫かなこれ?」
「……」
「……お前さんはこうなってもお構い無しか……さてこれからどうするか……」
「……」
「……これまで通り無言で向かってくるのか……やりづらいなぁ本当に……」
「……」
「おっとまっすぐ突っ込んできたか。なら軽く避けて……」
自身に突撃してくる身代わり人形を避けながら身代わり人形の足を引っ掻けて倒していった。
こうして呼吸を整える時間を作ったテイルが、呼吸を整えながら倒した身代わり人形がどのように起き上がるのかを眺めていく。
閲覧、感想、評価ポイント、ブックマーク登録、いいねありがとうございます!




