《身代わり人形の準備》
血の気を引かせているトーリア達を放っておく形でフィフが言葉を続ける。
「ちなみに魔力の設定はこの状態でのフルパワーの十分の一にしようかなって思ってるんだけど、それでいい?」
「……え? あ、ああ、それでいい。皆もそれで良いな?」
「……ええ、そうですね」
「……はい、自分もそれでいいと思います、隊長」
「……とのことだ、フィフ。良かったな、全員が認めたぞ?」
「うん、ありがとー。じゃあ魔力を込めるねー」
そう言って身代わり人形に魔力を込めようとするフィフに、ヴォロシンスキーが問い掛けた。
「少し待ってください。ひとつだけ聞きたいことがあるのですが」
「ん? なに?」
「先ほどフィフ殿はこの身代わり人形がテイルのところに行って戦い始める、そう言いましたね?」
「うん、そうだよ?」
「……確認なのですが、あなたはテイルと遭遇したことはないのですよね?」
「うん、ないよー」
「……それなのにこの身代わり人形はテイルの居場所に向けて正確に飛んでいく、と?」
「うんにゃ、それは無理。私がテイルの魔力を感知していないとできないよー」
このフィフの言葉を聞いたヴォロシンスキー達は全員ずっこけ、その状態からいち早く立ち直ったトーリアがフィフに激しいツッコミを入れていく。
「おい! なんだそれは!? ならどうやって身代わり人形をテイルにぶつけるんだよ!?」
「心配しなくても大丈夫だよー。そこにいる、え~っと、なんだっけ? 雑魚を使えばなんとかなるから」
フィフはそう言ってキャンベルを指差した。
これにキャンベルが反発し、フィフに文句を言おうとしたところでトーリアがキャンベルを制止してフィフに話の続きをさせていく。
「おい! 雑魚って言うな! 自分にはキャンベルという名前が……」
「待て、キャンベル、少し落ち着け」
「隊長!? しかし……」
「気持ちはわかるが落ち着け。今はフィフから詳しい話を聞くことが先決だ。良いな?」
「……わかりました、隊長……」
「よし。それではフィフ、続きを頼む。キャンベルをどう使う気だ?」
「心配しなくてもいいよー。ちょっと記憶を見せてもらうだけだから」
フィフはこう言うとキャンベルの頭部に手を置いて意識を集中させていく。
するとキャンベルが暴れ始めた。
「……え? ええ? ……え!? うええ!?」
「おい、キャンベル!? どうした!?」
「あ、頭が!! 頭が引きずり出される!! 苦しい!! 気持ち悪い!! 死ぬぅ!!」
「キャンベル!?」
キャンベルはこのように叫びながら徐々に泡を吹いていき、白目を剥いて倒れそうになる。
そうしてキャンベルが倒れそうになった時、フィフがキャンベルの記憶からテイルの姿を見つけ出した。
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