《その頃ロシア軍は》
テイル達が行き先をロシア帝国に決めたのとほぼ同じ頃、ロシア軍のヴォロシンスキーにトーリア、キャンベルにフィフ達が緊急会議を開催していた。
「さてフィフ殿、早速だがいつテイルと戦う気でいるのかを聞きたいのですが、良いですか?」
「ん~、別にいいけど」
「そうですか。それではいつですか?」
「私は今すぐでも良いよ~」
「……今すぐ? まだ疲れも取れてないだろ? もう少しあとでもいいんじゃないか?」
「そうですよ。それにあなた用のマシンアーマノイドもないんですよ?」
「疲れは全然ないから大丈夫だよ~。それにマシンアーマノイド? あんなのなくても大丈夫だよ、なくても圧勝してみせるから」
「……あまりテイルを舐めて挑まない方が良いぞ? どう考えても現時点での史上最強はテイルになるからな」
「トーリア殿の言う通りです。テイルに挑む時は慎重になってもらわなければいけません」
「自分も隊長やヴォロシンスキー殿の意見に賛成です。もう少し慎重に考えてください」
自身は余裕だと言っているのに、やたら慎重に慎重にと言ってくるヴォロシンスキー達にうんざりしたフィフが観念したように別の方法を話す。
「……全員うるさいな。私を怒らせたいの……?」
「怒らせたいのではありません。あなたのことを心配しているのです」
「……はあ。はいはい、わかったよ。それじゃあまずはお試しってことで、あれでやるか」
「……あれ?」
「うん。実はここに来る前にちょっともらった物があってね、それを使おっかなって思ってる」
「……はあ?」
「それがこれなんだけど」
フィフはこう話しながら、なにが出てくるのか恐怖半分、興味半分の表情で見守るヴォロシンスキー達の目の前で小型ゲートを展開させ、そのなかからフィフ自身と同じ大きさの人形を取り出した。
「な、なんですか、それは?」
「……人形? それにしてはやけにでかいが……」
「これは身代わり人形だよ。緊急時になりそうならこれに魔力を込めて、私の身代わりにして私は逃げろ、だってさ」
「……お前はそれをどう使う気だ?」
身代わり人形の説明を行なったフィフに対して、緊急時でもないのに身代わり人形を使うと発言したフィフにトーリアがその使い方を尋ねる。
この質問にフィフが笑いながら答えていく。
「魔力を込める前にどう使うかを決める必要があるんだけどね、その時にテイルを攻撃するように考えながら使い方を決めるだけだよ。そうして起動させたらあとは身代わり人形が勝手にテイルのところに行って戦い始めるからね」
このフィフの発言にトーリア達は血の気を引かせていった。
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