《テイルの行き先》
会合への出席者を決めたテイルは、会合が行なわれている間に自分達がやる予定の行動をエストに尋ねられ、皆に話していった。
「これで俺達の方は決まったわけだが、テイル、お前はどうするんだ?」
「私? 私は地球各地をいろいろと見て回りたいなって思ってるよ」
「地球各地を? なんのために?」
「各地を見て回って、スカウトできそうな人がいたらスカウトしていきたいなって」
「ああ、なるほどな。確かにまだまだ人手不足だしな」
「そうそう。それに魔物の討伐依頼とかもあるかもしれないしね」
「……それで資金稼ぎも一緒にやろうってか?」
「ふふ、そういうこと。こんな感じの報告でいいかな?」
「ああ、大丈夫だ」
「それならそろそろ出発してほしいかな。国家元首が欠席するのに加えて遅刻は印象が悪すぎるから」
「……そうだな……行こうか、ジェーン、リューネルン?」
「ああ、わかった」
「……ほーい……」
テイルの言葉を聞いたエストは、ジェーンとリューネルンに声を掛けると二人を連れてNATO本部のあるベルギー、ブリュッセルに向けて出発していく。
その様子を見守ったテイルが、次は自分達の番だと言ってアーシア、ジャン、テオ、フェイトの四人に声を掛け、特に行き先を決めずに艦から飛び出していった。
「うーん、やっぱり外は気持ちいいね~!」
「ねぇテイル、それはいいんだけどさ、これからどこに行くの?」
「……うーん……どうしよっか?」
「……なにも考えてないのかよ……?」
「そうだね~、飛びながら決めればいいやって思っていたからね~」
「おいおい……」
「というわけで……誰かどこかに行ってみたいとかある?」
「突然すぎませんか、マスターテイル?」
「うん、私も突然だとは思う。でも決めてくれてないとこのままあてもなく飛び続けるだけになるよ?」
テイルのこの発言に一同は顔を見合わせて一様にげんなりした表情をしたあと、目を逸らしながらどこに行くかを考え始める。
そうしてフェイトが一番に口を開いた。
「私はロシアに行ってみたいかな」
「ロシア? 敵国だよ?」
「敵国だから、かな。今どういう状況なのかを見ておいた方がいいんじゃないかって考えたのだけど……」
「……なるほど、そういう理由か……確かにロシアの情報を直接自分達で確かめるっていうのは必要なことだね、フェイト」
「そう思うでしょう? 皆はどうかしら? 他にどこか行きたい場所はあるかしら?」
自身の考えを話したフェイトが、このように他のメンバーに尋ねるも、他のメンバーもフェイトの意見に賛成したため、テイル達の行き先はロシアに決定した。
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